山梨学院が09年以来、11年ぶり2度目の優勝を果たした。

11年前と同じ青森山田との決勝は、前半12分にMF広沢灯喜(3年)のミドルシュートで先制。このゴールでペースを握ると、全国屈指の攻撃力を誇る青森山田に一度は逆転を許したが、後半33分に執念で追いつき、PK戦に突入。PK戦では、GK熊倉匠(3年)が相手2人目を止め、勝利をたぐり寄せた。

磨き上げた「守」が、2度目の選手権制覇につながった。県大会4試合を1失点で勝ち抜くと、全国の舞台でも、1回戦から準々決勝までの4試合で失点はわずか1。準決勝でも2点こそ奪われたが、PK戦でGK熊倉が好セーブを見せ、決勝に駒を進めた。

就任2年目の長谷川大監督(47)は「非常に厳しい戦いになったが、選手が本当に頑張ってくれたと思う。一生懸命、彼らが頑張った1年だったので、報われて本当に良かった。大声援を学校から送ってもらい、ここにきていない3年生の顔を見て、体が動いたと思う」とたたえた。

熊倉主将は「本当にうれしい。2失点してしまって、最後チームを救うと。貢献できて良かった」と歓喜の輪の中心となった。

99回目を迎えた今大会は、新型コロナウイルスの影響で夏のインターハイが中止となり、3年生にとっては最初で最後の全国大会となった。試合中の選手同士のハイタッチは禁止され、ボトルの飲みまわしを防止するために前半と後半に1回ずつの給水タイムが設けられるなど、例年とは異なる開催を余儀なくされた。

春先から実戦ができず、難しいチーム運営が求められたが、長谷川監督は「コロナ禍で選手の組み合わせを考える時間ができた。選手の組み合わせの『かけ算』により発揮できるものが違うことが見えてきた」と連戦に耐えられるチームをつくりあげた。

11年前と同じ1月11日。1戦ごとにたくましさを身につけた山梨学院が、激闘を制し、2度目の頂点に立った。