言葉の力は偉大なり。軍事クーデターの起きたミャンマーでは、自国軍の発砲で、多くの市民の命が奪われている。韓国人は、そんなミャンマーの事態に強い関心を持つ人が多い。きっかけは、ヤンゴン外国語大学韓国語学科の学生約20人の行動だった。
学生たちは、ヤンゴン市内の在ミャンマー韓国大使館の前でひざまずき「ミャンマーを助けてください。我々の未来、我が国を助けてください。どうか、お願いします。どうか」と、決してうまくはない韓国語で訴えた。その約4分の映像が韓国のニュースに流れ、一気にミャンマー市民を応援する機運が高まった。
日本でも同様のケースがあった。昨年7月のタイ・バンコクで起きた若者中心の反政府デモ。当時デモ隊の中で、日本のアニメ「とっとこハム太郎」の主題歌の替え歌が響き、注目された。19年には香港で「逃亡犯条例」の改正を巡り、デモ隊と警察が衝突。民主派組織のメンバーで女神と呼ばれるアグネス・チョウさんが日本語で支持を訴え、大きな共感を得た。
そんな言葉の力は、スポーツ界でも例外ではない。プロ野球の歴代助っ人で最も愛された1人として巨人のクロマティ外野手がいる。「バンザイ~」の映像はいまだ記憶に残る。Jリーガーも過去にW杯得点王ら多くの偉大な助っ人が来日したが「友達なら当たり前!」と叫ぶアルシンドの印象は強烈だった。
同じことが日本人選手にも言える。欧州移籍を夢見る選手が多いが、大半の選手が言葉の壁にぶつかり、移籍先で満足に力を発揮できないのが現状だ。現在、年代別も含め、50人以上の代表経験者が欧州クラブに所属しているが、半数以上はレギュラーを取れず、助っ人としての役割を果たせていない。
全盛期が過ぎ、日本代表を引退したMF長谷部誠が所属クラブで絶対的な信頼を得られたのは、誠実な上に、言葉の壁を突き破って仲間との信頼関係を構築したからだ。所属するアイントラハト・フランクフルトは長谷部を幹部候補、指導者として引退後もチームに残すことを表明するほど、信頼されている。
必ずしも正しい言葉を使う必要はない。下手でもその国の言葉を丁寧に駆使して話すことで、共同体としての共感を得ることができる。今後、欧州移籍を夢見る若手Jリーガーは、代理人が売り込みに成功したクラブへの移籍ではなく、プレーしたいリーグを絞り、普段から言葉の勉強を怠らないことを心掛けてほしい。それが成功への第1歩ではないだろうか。【盧載鎭】



