セレッソ大阪FW大久保嘉人(38)が、自身の持つJ1最多得点記録を190ゴールに伸ばした。

敵地横浜FC戦の後半15分、ジャンピングヘッドで決勝点を奪うなど4-1の勝利に貢献。再び得点ランク単独首位に立つ開幕5戦5発は、得点王を獲得した13~15年を上回るハイペースだ。C大阪を今季初の2連勝に導き、今月下旬に活動が再開される日本代表への復帰にも大きなアピールとなった。

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後半途中に退いていた大久保は、ベンチで仲間を満面の笑みで出迎えた。開幕前に「どんどん記録を更新していきたい。200ゴールは狙いたい」と宣言。この日は雷雨で試合開始が2時間も遅れたとは思えない集中力で、J1通算190ゴールに到達した。

後半15分、DF松田陸のクロスを打点の高いヘッドで決勝点を奪った。相手守備の間に、スッと割って入る動きだしは芸術的だ。開幕5戦5発は、川崎フロンターレ時代に3年連続で得点王を獲得した13~15年にもないハイペース。レビークルピ監督は、改めて「決定力、精度の高い選手」と評価した。

昨年のJ2東京ヴェルディでは初の無得点に終わるなど、ジュビロ磐田時代を含めた最近2年半は不振を極めた。その理由を、本人は誤解を恐れずに話したことがある。

「FWの仕事は(パスが)来るか来ないか。その場所にオレが入ったところで、来なければ点が入らない。記者もペンがなければ、仕事はできないでしょ」

C大阪では早くもホットラインが完成した。全5得点中、松田陸が3、MF坂元が2アシスト。今季初得点したFW豊川が「嘉人さんは、点を取れるところをよく知っている」と尊敬する一方で、清武、原川らMF陣が「前(FW)を見てくれているので、僕と嘉人さんはゴールに集中できる」。まさに“大久保仕様”のチームになっている。

日本代表は25日韓国戦(日産ス)など今月下旬に2試合を予定する。森保一監督は9日に「代表スタッフも注目している」と発言。2度のW杯に出場した大久保が、7年ぶりに復帰しても誰も文句は言えない成績だ。9日の練習後に「シュート技術は60歳になろうが衰えない。C大阪に来てわくわく感が増えた」と喜んでいたエースが、C大阪を優勝戦線へと押し上げた。【横田和幸】