ともに1勝で迎えた名門同士の対決。ホームの浦和が、鹿島に2-1で競り勝った。同点の後半21分。DF槙野智章(33)が、11シーズンぶりのPKを決め、47歳の誕生日だったロドリゲス監督へバースデー勝利を届けた。試合前には鹿島ザーゴ監督(51)が「うまくいっていない」と浦和へ先制“口撃”。これにロドリゲス監督は「反論はしません」と“大人の対応”で応戦し、ピッチ上でケリを着けた。

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1-1の後半21分。PKのキッカーのポジションには、キャプテンマークを巻いた槙野が立った。大きく息を付くと、ゆっくりとした助走からゴール左へ。勢いそのままに走りだした。ゴール裏で待つ浦和のファンを右手で鼓舞。さらに、サブのメンバーをベンチ前へ集まるように呼びかけた。ベンチに向かうと、一目散にロドリゲス監督と熱い抱擁を交わした。

槙野にとって、J1では広島時代の10年9月11日C大阪戦(長居)以来、11シーズンぶりとなるPK弾。浦和では初となるPKでの得点は、4試合ぶりの今季2勝目をもたらす以上の価値があった。4月3日は、ロドリゲス監督の47歳の誕生日。バースデー勝利を届けられた指揮官も「すごく完璧な試合ができた。幸せに感じる」と選手たちの頑張りに、満面の笑みを見せた。

“完全決着”で、誕生日を彩った。試合2日前の1日、鹿島ザーゴ監督が先制“口撃”。「なかなかうまくいっていない」と浦和の印象についてコメントした。2日、オンライン取材に対応したロドリゲス監督はそのことについて「反論をしません」と大人の対応で“いなした”。

ともに1勝で迎えた一戦。古くから名門と呼ばれ続けた2クラブ。その中で浦和のロドリゲス監督は、これまで控えが多かったFW武藤を杉本の代わりに1トップで送り出し、システムも新たに4-1-4-1を起用するなど、勝利に結びつけた。試合後、ザーゴ監督に「就任以来、初めての悪い試合」と言わしめ、ホームで最高の1日を終えた。【栗田尚樹】