横浜F・マリノスのFW前田大然(23)が、フル出場した6日のセレッソ大阪戦(1-0で勝利)で、驚異のスプリント数「62」を記録した、15年の集計開始以降、史上最多記録。これまで大差を付けて1位だった、自らが19年に記録した「53」を大きく上回った。

ケガや新型コロナの影響で主力を複数欠いたC大阪は、守備を固めて戦いを挑んできた。横浜攻撃陣がパスの出しどころに苦戦する中、前田は持ち味のスピードを生かして、DFの裏に抜けるスプリントを何度も繰り返した。ポステコグルー監督は「相手が引いた状態でスペースがなかったにせよ、チャンスを作れたところはあった」と評価した。

コロナ禍で新加入FWレオ・セアラの合流が遅れていることもあり、前田は今季、4-2-3-1の1トップで起用されている。横浜の1トップには、相手にボールが渡った瞬間の“守備のスイッチ役”としての働きも求められる。前田は何度も最前列から相手GKや守備陣に猛プレスをかけていた。50メートル5秒8の前田が全力で向かってくる姿は、かなりの迫力があっただろう。

攻撃のためのスプリントと、守備のためのスプリント。前田の労を惜しまない働きぶりが「62」という驚きの数字につながった。

J1得点ランク首位を走る東京オリンピック(五輪)世代の前田だが、3月のU-24日本代表活動は、ケガもあり招集が見送られた。この日は日本代表の森保一監督(52)が視察に訪れていた。1-0の試合で、得点もアシストも付いていない。スコアには乗らない前田の献身的な働きは、森保監督の目にもとまったはずだ。【杉山理紗】