出番は想像以上に早かった。

8日、豊田スタジアムで行われた名古屋グランパス戦。セレッソ大阪FW高木俊幸(29)は前半38分、先発FW中島元彦(22)の負傷でピッチに立った。3月21日の第6節湘南ベルマーレ戦で右ハムストリング筋損傷。約1カ月半ぶりの復帰戦だが「フィーリングも、試合勘という意味では悪くなかった」と、とけこんだ。

目の前には新鮮な光景が広がっていた。相手の背番号8はFW柿谷曜一朗(31)。昨季までC大阪で共に戦った2歳年上の先輩だ。その柿谷は前線で起点となり、後半21分の決勝点を演出していた。高木は柿谷への率直な思いを明かした。

「僕も3年間(C大阪で)一緒にプレーさせてもらっていましたし、何よりやっぱり、技術のレベルの高さはこのリーグでは本当にトップ。そういった意味では『相手にいるのは嫌だな』っていう思いがあります。今日も嫌なところで受けて、はたいて、起点になっていた。あらためて『相手にいるっていうのは嫌だな』と思いました」

この日は前節G大阪戦(2日)で左太ももを負傷した、元日本代表FW大久保嘉人(38)が欠場。中島も筋肉系の違和感といい、前線の選手に故障が相次ぐ。今は柿谷もいない。元プロ野球選手・高木豊氏(62)の長男としても知られる29歳は、立場を自覚する。

「試合に出られているのはチャンス。次に切り替えて、チームの結果と、個人の結果を求めたい」

次節は15日、敵地ノエスタでヴィッセル神戸との「阪神ダービー」を迎える。上位進出へ、勝負どころがやってくる。【松本航】