26日にコーチからの内部昇格が決まったセレッソ大阪小菊昭雄新監督(46)が27日、オンラインで初めて取材に対応した。今季もコーチとして公式戦で代行指揮はあったが、監督就任は初めて。事実上のぶっつけ本番で、28日に敵地で行う大阪ダービーに臨む。

C大阪は25日の湘南ベルマーレ戦で1-5と大敗。レビークルピ前監督の事実上の解任となり、森島社長から就任要請を受けたのは翌26日だったという。

「社長から経緯を説明していただき、小菊に立て直してほしいと力強く言われた。(これまで)自分が監督ならどうするか、どう選手に伝えるか、どう練習するか、と考えていた。やるしかない、還元するタイミングだと思った。このクラブが困難な時ほど、自分は立ち向かっていかなといけないと思い、まさにそのタイミングは今だと思いました」

開幕直後こそ上位争いしていたが、最近17試合でわずか2勝。12位にいるものの、J2降格圏内にいつ落ちてもおかしくない危機的な状況だった。

小菊監督は06年以降、歴代監督の下で計15年ほどコーチを務めてきた。愛知学院大卒業後はクラブ一筋。Jリーグの選手経験もなければ、トップの監督経験もない。ただ、負けないのはサッカーへの情熱であり、前向きな精神。人と真正面からぶつかってきた人間力は、指導者として武器になっている。

10年に3位に躍進した時のレビークルピ監督、17年に天皇杯とルヴァン杯の2冠を獲得した際の尹晶煥監督、そして19、20年と強固な守備ベースの戦術を築いたロティーナ監督ら、過去の先輩たちの長所をたっぷりと吸収してきた。

本来は攻撃的なサッカーを信条とするが、この短期間では攻守のバランスに注意したという。その上で「まずは守備でハードワークできない選手は使わない。攻撃にたけた選手が、守備に頑張るからこそ引き締まる」と、選手には注文をつけた。

監督デビュー戦は敵地での大阪ダービー。「私自身も育成(下部組織のコーチ)の時から、負けたくない相手として意識していた。子どもたちにも常々言ってきた。その中で初戦がG大阪。非常に深い縁を感じます。運命なのかなという気持ちでいます。スタートを切るには最高の相手で、すごくわくわくしている」。その後のルヴァン杯準々決勝第1、2戦を含めれば、G大阪と3連戦になる。厳しい局面だからこそ、新たなC大阪の可能性を示していきたい。【横田和幸】