第100回全国高校サッカー選手権が28日に開幕する。2年ぶりの全国制覇を目指す静岡学園は、29日の1回戦で徳島商と対戦(千葉・フクアリ、午後2時10分)。日刊スポーツ静岡版では今日2日から「静岡学園 2年ぶり頂点へ」と題して、チームの顔触れを連載する。第1回は、来季のJ1清水入りが内定しているMF川谷凪(なぎ、3年)。50メートル5秒9のスピードスターが、全国大会で大暴れするつもりだ。

    ◇    ◇    ◇

爆発的なスピードでサイドを駆け上がる。川谷に迷いはない。ボールを持ったら仕掛け、攻撃を活性化させる。「足の速さでは絶対に負けない自信がある」。県大会は、右足首負傷でわずか1試合の出場に終わった。全国大会では「勝利に貢献するプレーをしたい」と燃えている。

挫折からのスタートだった。高校入学直後に左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂。1年間を棒に振った。「自信満々で高校に入ってきたのに、出遅れてしまった」。ケガ明けの2年時からAチーム入りし、トラップやパスの基礎技術を反復練習。持ち前のスピードを生かしたプレーで頭角を現すと、今年2月の新人戦から先発の機会が増えた。県総体後にはJ1清水の練習に参加。「プロ相手に通用する部分はあった」とアピールし、正式オファーを勝ち取った。

昨年まで控えだった男がスタメンに定着し、夢だったプロへの道も切り開いた。まさに「スピード出世」。ただ、目標は先にある。2年ぶりの全国制覇を目指す大会は、自身の名を広める絶好のチャンスでもある。「エスパルスのファンにも『こいつだったら活躍できる』と思ってもらえるようなプレーをしたい」と決意を口にした。

名前の「凪(なぎ)」は、穏やかな人になってほしいという思いで付けられたという。「全く正反対の性格ですけど、それも自分の武器。チームのためにガンガン仕掛けていきたい」。負けん気も強い快速ドリブラーは、勝利のために走り続ける。【神谷亮磨】

◆川谷凪(かわたに・なぎ)2003年(平15)7月6日、大阪府生まれ。小1からTSK粟生(あお)SC(箕面市)でサッカーを始め、中学時代は千里丘FC(吹田市)でプレー。家族は母、姉。178センチ、69キロ。血液型O。