8日に就任が発表されたヴィッセル神戸のミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督(64=スペイン)の初陣が、10日のJ1リーグ、セレッソ大阪戦(ノエスタ)に決まった。

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自身が19年に5位、20年に4位へと導いた、日本で最も成功体験を手にできた古巣C大阪との対戦でスタートを切るのは、運命的でもある。

C大阪を率いるのは、昨年8月下旬にコーチから内部昇格した小菊昭雄監督(46)。ロティーナ監督がC大阪時代、自らをコーチとして補佐してくれ、信頼していた部下だ。初の師弟対決実現となり、熱血漢の小菊監督も正面からぶつかっていくはずだ。

ロティーナ監督が清水エスパルスを率いた昨季、小菊監督との直接対決は、これも運命的に回避されている。J1残り4試合となった時点で、ロティーナ監督が清水を成績不振で事実上の解任となり、12月4日の最終節では再会を果たせなかったからだ。

スペイン人監督はこの日開かれた就任会見で、C大阪との初戦を質問され、初めて表情を崩した。

「サッカーの世界では起こりえること。C大阪での2年間は素晴らしい経験ができた。サポーターやクラブと素晴らしい関係を築けた。特別な試合になる」

強固な守備ブロックを築いた上で、鋭く、バランスのいい攻撃を仕掛けるのがロティーナ監督の信条。C大阪時代は決して守備的、消極的というイメージを与えなかった。含蓄のある言葉で選手の背中を押し、サポーターはもちろん、クラブ関係者からも愛されていた。小菊監督も「師匠」と尊敬していた。

神戸でMFイニエスタらが奏でる創造的な攻撃力とかみ合えば、開幕9戦未勝利からの再建は、ロティーナ監督の言う通り「簡単な形で結果は転がり込んでくる」かもしれない。その第1歩となるC大阪戦は、10日午後2時にキックオフされる。【横田和幸】