花巻東(岩手1位)が聖和学園(宮城1位)との延長戦を2-1で制した。延長後半2分、スローインを受けたDF船山智哉(3年)が、ゴール手前約30メートルからループシュート。それが決勝ゴールとなり、同校は初の東北大会決勝進出を決めた。

「とてもうれしくて最高でした」。チーム待望の2点目を決め、船山は拳を突き上げた。「キーパーを避けるように少し内側へ蹴りました。ゴールの真ん中ぐらいで誰かが飛び込んでくれればと思っていました」。右サイドからスローインを受け、利き足ではない左足でクロスを上げた。チャンスにつなげようとクロスのつもりで蹴ったボールは、大きな弧を描きゴールに吸い込まれた。船山は「蹴った瞬間、すごく良いインパクトで、良いボールが行ったかなと思ったらそのまま入っちゃいました」と笑顔。自身初となる約30メートルのロングシュートに驚きながらも喜んだ。

父に決勝点をプレゼントした。19日は父の日。そして前日18日は父・賢治さんの誕生日だった。船山にとって結果を出すには最高のシチュエーション。船山は「いつも応援してくれている。本当は昨日決めたかったんですけど、(誕生日を)1日過ぎた父の日に決められてよかったです」と、恥ずかしそうに笑った。

花巻東サッカー部の歴史を変えたイレブンが東北王者に王手をかけた。昨年度主将の鈴木拓さんが掲げていた目標「歴史を変える」を受け継ぎ、岩手県総体決勝では専大北上を5-0で下し優勝。同校初のインターハイ出場を成し遂げ、東北大会では初の決勝進出を果たし、歴史をさらに塗り替えた。

決勝の相手は青森山田だ。船山は「青森山田はサッカーをやっている人なら誰でも知っているような高校最高峰のチーム。その相手にどれだけ通用するのか、楽しみです」と目を輝かせた。初のインターハイにいい形でつなげるため、全身全霊で高校最高峰に挑む。【濱本神威】