セレッソ大阪が6日、J1リーグで天敵鹿島アントラーズ戦(カシマ)に挑む。C大阪は鹿島を苦手にしており、通算は14勝5分け26敗と大きく負け越し。最近10試合に限れば、1分け9敗と歯が立たない。最後に勝ったのが、尹晶煥監督時代の17年4月8日のアウェー戦だ。

その天敵撃破の期待を持たせるのが、小菊昭雄監督(46)だ。今年3月2日、ルヴァン杯1次リーグのアウェー鹿島戦に、17歳FW北野の決勝弾で1-0で勝利。カップ戦とはいえ、嫌な流れは断ち切った。

7日が47歳の誕生日となる小菊監督は、この鹿島戦が46歳最後の指揮。昨年8月末、レビークルピ当時監督の成績不振で途中就任してから、監督1年の集大成といえる大舞台になる。

「選手も私も、熱く燃える試合。もちろん、どの試合も大事だが、上位に勝つことで我々の可能性を広げていく。非常にポジティブに考えている。勝つことだけに集中したい」

前節は川崎フロンターレに2-1で逆転勝ちし、王者に今季2戦全勝を達成。今節の2位鹿島、次節10日の首位横浜Fマリノスを含めて“打倒3強”を成し遂げれば、現在の5位から優勝戦線に加われる。

1年前の就任時、小菊監督はJリーグ選手経験のない異例の監督として話題になった。それをハンディとはせず、希代のモチベーター監督は、天性の意思疎通能力を武器に、控え選手のやる気を落とすことなく、「絆」を合言葉に総力戦でここまできた。誤算はMF乾の途中退団だったが、成績だけ見れば5月以降、チームは逆に右肩上がりになった。

選手のやりくりが抜群にうまい。DF山中がけがをすれば、代役の舩木が現在J1初得点を含む2戦連発中。舩木は以前「小菊さんが、フラットに自分を見てくれている」と感謝したことがある。MF原川が腰痛で欠場すれば、鈴木が得意のFKで2試合連続の計3アシストという、神懸かり的な代役の活躍が続く。

司令塔の主将MF清武が左足首を負傷し、全治6週間の離脱となった。その不在初戦の前節川崎F戦では、システムを変更し、的確な選手交代で逆転勝利へと導いている。組織を束ねられる人間力だけでなく、戦術や采配面をこの1年で勉強し、急成長を遂げている指導者だ。

鹿島には前回4月29日のホーム戦で、0-3と今季最多失点で敗戦。小菊監督は「前期の中で一番悔しい敗戦だった。アウェーだが、勝って帰ってこられるように準備をしたい」とリベンジを誓う。七夕の誕生日へ、願いは「打倒アントラーズ」だ。