全国選手権に出場する首位の浜松開誠館が、今季ホーム最終戦で富士市立に4-1で快勝した。主力FWが不在の中、先発起用されたFW山口莉生(りく、3年)が先制点を含む2得点と躍動。チームをけん引した。この日、勝ち点3差の2位藤枝明誠も勝利。初優勝は、来月3日に行われる最終節のアウェー常葉大橘戦に持ち越しとなったが、収穫の多い勝利となった。

浜松開誠館の山口が、ゴール前で輝きを放った。まずは0-0の前半12分、FWの嗅覚を発揮した。「打った瞬間にこぼれると思った」。味方のシュートのこぼれ球に反応し、そのまま押し込んだ。貴重な先制点で勢いに乗ると、2-0の同16分。今度は絶妙な動きだしからスルーパスに抜けだし、利き足の左足で豪快にネットを揺らした。

19日の前節・静岡学園セカンド戦(2○1)に続く2戦連発弾で、今季9点目を記録。「2点目もイメージ通りだった」と、駆け寄る仲間と笑顔でハイタッチを交わした。序盤のゴールラッシュを契機にチームも4発快勝。9月の藤枝明誠戦から続く連勝を「7」に伸ばし、首位を守った。

猛アピールの2発だった。この日、主力FW坂上輝(3年)が大学受験で欠場。山口に3戦ぶりの先発が巡ってきた。「自分にとってはチャンス。とにかく走って点を取りたかった」。途中出場3試合で1得点に終わった県選手権の雪辱も胸に、結果で応えた背番号「11」。青嶋文明監督(54)も「今日の結果は彼にとってもチームにとっても大きい。重要なピースになってきた」とうなずいた。

山口に引っ張られるように、後半13分には県選手権でメンバー外だったMF粟倉朱惟(しゅい、3年)も右足ミドルで得点を挙げた。初のプリンスリーグ制覇はお預けとなったが“新戦力”たちが躍動。年末には全国選手権も控えるチームにとって、収穫たっぷりの勝ち点3となった。

最終節は敵地で常葉大橘と対戦。引き分け以上で優勝、そしてプレミアリーグ参入戦への出場が決まる。それでも、山口は「優勝は通過点。自分たちの目標は、プレミア昇格を決めること」とキッパリ。最後まで気を緩めず、目指す場所へと駆け上がる。【前田和哉】