北海道コンサドーレ札幌のタイ代表MFスパチョーク(24)が札幌2年目で開眼だ。12日、沖縄・金武町でのキャンプ練習2日目に参加。昨年12月に母国で出家して修行。タイの成人男性としての儀式を終えた。昨季途中で期限付き移籍で加入。完全移籍に移行した今季、開幕スタメンを狙い、キャンプで修業する。

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伸びかけの丸刈り頭のスパチョークは走って、蹴って、動いた。強度の高いメニューをこなしても「みんなで集まって練習できるのでうれしい。楽しんでいます」と笑顔。薄めの眉毛でちょっぴりこわもての印象も、笑えば変わらずチャーミングだ。

オフ期間の昨年12月、出家した。タイでは20歳以上の仏教徒の男性が出家する文化があり、寺院で修行する。スパチョークは2週間、食事は午前中のみ、パソコンや携帯電話の使用禁止などのルールを守る生活を送った。「タイ人は全員人生で1度はやること。オフのタイミングでやった。相当きつかった。サッカーの方が楽しい」と振り返った。

出家に向けて頭髪も眉毛も全てそり落とした。「もっと早く伸びて欲しい。伸びるのが遅い」と頭を触りながら苦笑い。それでも儀式を終えた達成感から「心が落ち着いた感じがする」と、自身の中での変化を感じている。

昨年6月、タイ1部ブリラムから期限付き移籍で札幌に加入。リーグ戦7試合に出場した。すべて途中出場。だから完全移籍した今季は「もちろん先発から出たい。自信がある。チームのために先発で出て活躍したい」と意気込む。ポジションは「一番自信があるのはシャドー(1.5列目)だけど、監督次第。ウイングバックでもボランチでも、どこでもチームの力になるように」とこだわらない。与えられた仕事を果たすつもりだ。

2年目は違う。チームのシーズン始動から参加する。「キャンプの初日からみんなと一緒に練習できるのはいい」。昨季、チームへの適応に苦戦した。そのためキャンプのテーマは「チームのシステムにもっとうまく対応する、コンディションを上げていく、この2つを頑張りたい」と掲げた。

冬は雪が積もる札幌特有の約2カ月の長期キャンプがスタートした。経験はないが「ポジティブに考えると、チームの雰囲気をつくれる時間がたくさんある。みんなと一緒に食事したり、話したりする時間があるのはいい」と歓迎する。2月の開幕戦でスタメンを手にするために、迷いはない。【保坂果那】

◆タイ男性の出家 仏教国タイでは20歳以上の成年男子は1度は出家して仏門に入り、両親への感謝と幸福を祈る文化が残っている。髪と眉をそり、さまざまな儀式を行う。基本は3カ月だが、短いときは1週間で、タイ企業では「出家休暇」も設けられている。

▼沖縄キャンプ初めてのゲーム形式の練習が行われた。1人ずつ多い12対12で、タッチ数などに制限を設けて実施。2列目でプレーしたFW小柏は「まだまだ体が追いつかないこともあるけど、チームが統一してやれている。結果に結び付けばいい」と充実した表情を浮かべた。

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