30周年を迎えるJリーグのシーズン到来を告げる一戦は昨季J1王者の横浜F・マリノスが、天皇杯王者のJ2ヴァンフォーレ甲府に2-1で勝利した。

6度目の出場で初めてタイトルを手にした。昨季の主力の移籍に加えて負傷者も抱えているが、地力の差を見せた。J1リーグ開幕戦は17日。横浜は、昨季2位の川崎フロンターレとアウェーで戦う。

   ◇   ◇   ◇

王者は、勝利にも笑みを浮かべることはなかった。前半30分に好連係からFWエウベルが先制点。しかし、同44分に失点。後半16分に勝ち越し点を決めたFW西村は「つなぎのところとか、まだまだ全然」と振り返った。MF渡辺も「このままだと厳しい。パスにしても少しのずれがあった」。J1優勝を経験し、ハードルは上がった。今季1つ目のタイトルを手にしても、手放しで喜ぶことはなかった。

オフに、昨季リーグMVPのDF岩田がセルティックへ移籍。守護神のGK高丘も米MLSのバンクーバー加入が決定的で4日にチームを離れた。GKにはオビ・パウエルオビンナが起用されたが、緊急獲得したGK飯倉を含めた4人がポジションを争う状況だ。サイドバック(SB)には負傷者が相次ぎ、この日は柏から加入したセンターバックのDF上島が2日前の練習から急きょ右SBに入ってカバー。「イメージとちがうところもあり、パスや判断にミスもあった」と、手探り状態だったことも明かした。

それでも「結果は譲らない」とMF喜田主将は言葉に力を込める。ボランチから前線までは昨季とほぼ同様の陣容で、J1最多70得点を記録した攻撃力でこの日も複数得点を決めた。喜田は「狙い通りのシーンもあった。自分たちはもっとできる。動じずに進めていく」。変わることのない勝利への貪欲に、J1王者になってつかんだ自信が加わっている。

17日のアウェーでの開幕戦の相手は昨季2位の川崎F。けが人など戦力が整わない部分は残るが、いきなりの“頂上決戦”となる。それでも、MF水沼は「今日勝って修正できることはポジティブ。川崎Fと最初にやれるのは楽しみ」と話した。陣容が変わり、まだまだ課題は出ることも覚悟の上。王者は、結果は譲らない。底力を証明。初タイトルを手にし、船出した。【岡崎悠利】

【スーパーカップ】J1王者横浜が貫禄勝ち、甲府善戦もわずかに及ばず/詳細