「J2優勝、J1昇格」のストーリーを描く。J2ベガルタ仙台は明日19日、FC町田ゼルビアとの開幕戦(Gスタ)を迎える。開幕直前、伊藤彰監督(50)が、目標達成への強い決意と覚悟を口にした。J2降格初年度の昨季はプレーオフ(PO)進出を逃し、7位と低迷。巻き返しの1年へ-。攻守で連動するサッカーを武器に「戦国J2」を勝ち抜く。

いざ、逆襲のシーズンへ。伊藤監督はJ2を制し、J1に返り咲くストーリーを描いている。

伊藤監督 「あるべき力を強固にして今年、J2優勝をつかみにいく。選手も『J2優勝』と言い続けることで、チームに一体感を生む。目的を持ちながら前を向いて戦いたい」

不退転の決意で臨む。昨季は夏場以降大失速し、上位争いから脱落。7位に終わり、PO進出すら逃した。伊藤監督はシーズン残り8試合で再建を託されたが、現実は厳しかった。「調子が悪い時に、どれだけ立ち返るものがあるのか? そこにメンタル部分も含めて、立ち上がれるのか? 夏以降は、順位が定まってくると、はい上がっていくチャンスがない状況もある。クラブの力もそうですが、チームの総合力が重要になる」。悔しさを糧に、結果で雪辱を果たす。

勝負のシーズンに向け、臨戦態勢を整えた。1月13日に仙台を飛び立ち、1次沖縄、2次延岡(宮崎)、3次宮崎と約1カ月間、南国の地でトレーニングに励んだ。「(今年は)キャンプの頭からやらせてもらっているので細かい部分、チームとしてやるべきコンセプトなども、より一層細かくやっていることが多い」。さらに12人の新戦力が加入。「選手の戦術理解度とクオリティーを上げる」をテーマに既存の選手と新加入選手の融合を図った。

「J2優勝、J1昇格」のボーダーラインは、1試合平均勝ち点が「2」で、シーズン42試合で同「84」と言われている。指揮官も「昇格に必要な数字。確実にそこを目指したい」と目標に定める。さらに、「得点は1試合平均2得点。失点が0点台。(42試合を戦い)40失点以内は優勝するために必要な数字。意識しながら戦いたい」と意気込んだ。昨季は42試合で67得点をマークするも、失点が「59」と多く、守備の整備が必要不可欠だ。「攻守ともに連動したサッカーを目指している。1人だけ走るとかではなく、全体でしっかりと同じ意識を持って攻撃と守備をやっていく」と一体感を重視する。

明日19日、いよいよ町田との開幕戦を迎えるが、長期的ビジョンを描く。

「チームが乗るために、開幕戦を取る(勝利する)ことはすばらしいと思いますが、我々の目標は、開幕戦でスタートダッシュすることではない。目的は42試合を戦った時に頂点に立っていること。開幕戦は42試合ある1試合にすぎず、特別ではない。開幕戦で勝ち点「6」を奪えることはないし、特別な1試合というよりも、我々が頂点に立つための1試合という状況をつくっていくことが大事だと思います」

仙台を含め、J1経験のあるクラブが半分を占め、「戦国J2」とも言われる過酷なリーグ。一筋縄では勝ち上がれないが「ベガルタ仙台」の威信にかけてはい上がる。【佐藤究】

◆伊藤彰(いとう・あきら)1972年(昭47)9月19日生まれ、埼玉県出身。武南高(埼玉)から国士舘大を経て、95年富士通入り。Jリーグ加盟により、川崎Fとなり、01年までプレー。02年から大宮、鳥栖、徳島に在籍し、06年現役引退。07年から大宮の下部組織で指導者となり、17年大宮監督、18年ヘッドコーチを経て、19~21年甲府監督。22年8月まで磐田監督、同8月から仙台の監督に就任。