主導権を握られながらも耐え続けたINAC神戸レオネッサが、PK戦の末に三菱重工浦和レッズレディースを下し、7大会ぶり7度目の女王に輝いた。

試合を通して多くの時間を相手陣内でプレーしたのは浦和だった。サイドでの駆け引き、中盤での強度といった局面でINACを上回り、危なげなく試合を進めた。

先制は前半19分、INACが最終ラインからボランチに入れたボールを浦和MF塩越柚歩(26)が奪い、右のMF清家貴子(27)がクロスを狙う。このキックがINACのDF竹重杏歌理(21)の右足に当たり、GKを越えたボールが左サイドネットに吸い込まれた。

INACは後半開始時に2選手を入れ替えて挽回を図ったが、浦和優勢の展開は変えられず、1点差のまま時間が経過した。それでも浦和に追加点を与えなかったINACは、最後の最後に同点に追い付く。後半のラストプレーで人数をかけて前に出ると、浦和のハンドを誘ってPKを獲得。これを途中出場のFW高瀬愛実(33)が右隅に転がした。

これで息を吹き返したINACは、延長戦に入って出足の早さで上回るようになる。延長後半8分にはMF成宮唯(28)がバーに当たる左ミドルを放ち、終了間際にはDF守屋都弥(27)がカウンターから持ち上がって決定機を作るなど、流れを変えた。

ともに追加点を決められなかった試合の決着は、PK戦に委ねられることに。両軍3人目が失敗した後は成功が続いたが、浦和の7人目MF伊藤美紀(28)のキックが左ポストに当たり、INACの勝利が決まった。

INACのGK山下杏也加(28)は「最後まであきらめないみんなのパワーがあった。内容には満足できないサッカーだったが、1位になれたのは今季のパワーだと思う」と喜び、田中は「思いきり蹴りました。良いサッカーはできなかったが、粘り強く戦って勝てたのは今季やってきた成果だと思う」と胸を張った。