<J1:G大阪1-0千葉>◇第18節◇20日◇フクアリ

 北京でも勝ってこい!

 G大阪が、北京五輪代表DF安田理大(20)を劇的勝利で送り出した。千葉戦の後半ロスタイムに途中出場のFW山崎雅人(26)が決勝ゴールを決め、1-0で競り勝った。安田ら五輪組にとっては今回が五輪本大会前最後のリーグ戦。一丸となったチームに白星を贈られ、最高の気分でメダル獲得へ突き進む。G大阪は暫定3位に浮上。鹿島は2-0で5連敗中の横浜に快勝し、暫定首位に立った。

 一丸となったチームの踏ん張りに、胸が熱くなった。安田は万感の思いで口を開いた。「五輪に行く前に勝てて、ホンマによかった。勝ち方的にも気持ちいい。ヤマさん(山崎)もいい仕事してくれたわ…」。五輪前の最後のリーグ戦。はなむけの白星の味を何度もかみしめた。

 調子はよくなかった。西野監督からは「もっと位置取りを考えないと」と指摘された。前半17分には相手FWのユニホームを引っ張り、警告を受けた。「相手に研究された中でもやっていかなあかん」。反省の連続で、最下位千葉にあわやドローの展開。だが、土壇場でドラマが待っていた。劇的決勝弾を決めた山崎に飛びついて喜んだ。

 試合前、宿舎でのミーティング。西野監督が全員に「ミチ(安田)が五輪前最後の試合だ。勝って送り出してやろう」とゲキを飛ばした。千葉の堅守に苦しんでも、最後まであきらめなかった。ゲーム主将のDF山口は「あいつにとってはまた違うチャレンジ。メダル目指して頑張ってほしい」とエールを送った

 安田は試合後、スタンドのファンから特大の旗を手渡された。無数の応援メッセージが書かれていた。出身地の大阪・吹田市でも、市民が五輪の試合を公的施設で観戦しながら応援する計画がある。「五輪の大きさをあらためて感じる。北京でも勝ちたい」。3年ぶりリーグV奪還を目指すチームの白星を意気に感じ、いざ北京へ。必ずメダルを胸に凱旋(がいせん)してみせる。【北村泰彦】