<J1:磐田5-0札幌>◇第28節◇5日◇ヤマハ

 磐田FW前田遼一(26)が、完全復活を証明した。札幌戦で05年7月9日のC大阪戦以来2度目のハットトリックを達成。前半7分にGKのファンブルを見逃さず冷静に左足で決め、同32、36分には右CKを受けて打点の高いヘッド弾を連発した。9月23日の東京戦、同28日新潟戦と合わせ3戦5発の固め打ちだ。

 「負けたらJ2に落ちると思った」。危機感が、前田の体を突き動かしていた。これでチームは17位から15位に浮上し、降格圏から1歩抜け出した。ベテランMF名波も「エースが決めればこういう試合になる」と絶賛した。

 この試合には、日本代表岡田監督が視察に訪れていた。御前試合での活躍に、前田は「体調はいい。いつ呼ばれても大丈夫」と代表復帰もアピールした。今年は故障で代表辞退が続いており、一時は岡田監督から「オレとは縁がないのかな」と、招集をあきらめるようなセリフも出たが、それも期待されているからこその言葉だ。

 実際に、試合前には岡田監督とオフト両監督が会談し、岡田監督が「状況に応じて呼びたい」とクラブ側に要請。オフト監督も「故障がなければ問題ない」と容認した。技と高さを兼ね備えた万能型FW前田が、岡田ジャパンに戻る日も近そうだ。【村上幸将】