<なでしこリーグ:東京電力マリーゼ2-1スペランツァFC高槻>◇1日◇最終節◇福島・Jヴィレッジスタジアム

 東京電力マリーゼ(福島)が、チーム歴代最高の3位で今季リーグ戦を終えた。スペランツァFC高槻(大阪)に逆転勝ち。前節まで3位だったINAC神戸レオネッサが敗れたため、逆転した。就任1年目の菅野将晃監督(49)が「3位以内が目標」と掲げた公約を有言実行。昨季は6位と低迷した東北唯一の「なでしこチーム」が、強豪の仲間入りを果たした。

 苦しかった練習を、無駄にはしたくなかった。最下位相手に0-1で折り返したマリーゼだったが、圧倒的な運動量でゲームを支配した。後半10分にFW本間真喜子主将(33)のループシュートで同点。2分後にはMF伊藤美菜子(23)が、相手GKの手を吹き飛ばす強烈ミドルを決め、勝利をもぎ取った。

 粘り強さは「菅野イズム」のたまものだ。昨季まで、ほとんどなかったシーズン中のフィジカルトレを徹底。「涙、よだれ、鼻水を出しながら、みんなで頑張ってきた」と本間主将は振り返る。月~水曜日の45分間はフィジカルメニュー。地獄のメニューと評される「300メートル×9本のチューブ走」は毎週、行った。

 菅野監督も「J2の監督(水戸、大宮、湘南)を約6年やってきたけど、こんなに走ったのは初めて」と振り返るほどだ。アマチュアの意識改革にも着手。休日明けに体調を崩す選手には、厳しくカツを入れた。

 そんな厳しい日々でも、笑顔は絶やさなかった。笑うと目尻が大きく下がる菅野監督に「あの笑顔にだまされてきた」と本間主将。選手の心と最高順位をつかんだ菅野監督は、来季へ向け「練習を進化させたい」と、さらなる飛躍を誓った。【三須一紀】