頸椎(けいつい)骨折のため選手生命も危ぶまれた磐田DF加賀健一(27)が、チーム始動から3日間を順調に終えた。27日、午前9時半から始まった練習では、時折笑顔を見せながら約2時間のメニューをこなした。「大きなけがを乗り越えて、みんなと同じようにスタートできた。ここまでこれたことも奇跡だし、サッカーができることを幸せに感じている」。

 昨年7月4日のJ2富山との練習試合で、悪夢に襲われた。相手FWのハイキックを顔面で受け、頸椎を骨折。全治3~6カ月と診断された。リハビリは歩くことから始まった。驚異的な回復で同26日にコルセットを着けてウオーキングを開始したが、外せば強烈な肩凝りに襲われた。寝返りも打てない痛みで、眠れない日もあった。

 それでも懸命なリハビリを続け、昨年末にはボールを蹴られるまで回復。今月12日から始まった若手合同自主トレに参加して、この半年間を取り戻すために、黙々と走り続けた。

 「開幕スタメンを目指してやっていかないといけない。対人など、まだ完全に大丈夫という実感はないが、まずは試合に出てチームの仲間やサポーターに無事にやっている姿を見せたい」と、カムバックの日を語れるまで輝きを取り戻している。【前田和哉】