<J1:鹿島2-1福岡>◇第8節◇29日◇レベスタ

 鹿島がようやく震災後の国内初勝利を被災地に届けた。アウェーで福岡に先制を許したが、逆転勝ち。主将のMF小笠原満男(32)は「被災した方々に勝利を届けたかった。これで終わりじゃない。最後はチャンピオンになる」と気持ちを引き締めた。

 前半11分にDFアレックスが負傷交代。MF増田が慣れない左サイドバックを任された。同40分には先制を許した。そこから底力を発揮した。後半14分、FW大迫が今季初ゴールを決めると、同26分にCKからDF岩政が頭で勝ち越しゴールをたたき込んだ。

 小笠原には負けられない試合だった。5月4、5日に被災した故郷岩手に帰り、サッカーイベントに参加する。5日はチームの練習があるが、オリベイラ監督から支援活動の理解を得て、オフをもらった。イベントでは被害のひどい岩手沿岸部の子供たちをバスで送迎し、試合に参加してもらう。小笠原は「勝たないで現地に行ったら心配される。だから、勝って行きたい」と話していた。

 0-3で完敗した23日の横浜戦からスタメンが3人入れ替った。今季、新潟から新加入のDF西が初先発で同点ゴールの起点となった。後半40分、高卒ルーキー柴崎もプロデビュー。最初のプレーで警告を受けるなど、球際の激しさを見せた。小笠原は「チーム全員で戦っている。新戦力が頑張ることで、おれたちもという気持ちになる」と振り返った。

 負ければ勝ち点制を導入した95年以降、クラブ初の最下位の可能性もあった。この日の勝利で、中3日で迎えるACL1次リーグ上海申花(中国)戦(5月3日、東京・国立)にも弾みをつけた。鹿島が復興を目指す被災地とともに、チーム力「復興」への第1歩を刻んだ。【塩谷正人】