G大阪のFW宇佐美貴史(19)が、いばらの道を選んだ。ドイツの強豪Bミュンヘンに期限付き移籍することが正式決定し、27日に大阪府内で会見した。フランス代表MFリベリ、ドイツ代表MFミュラー、オランダ代表FWロッベン…。同じポジションに豪華メンバーがズラリ。試合に出られない危険性があることは百も承知だ。19歳には並々ならぬ決意があった。

 「目標はバロンドールを取ること。バイエルンで先発を勝ち取れば、チャンスはある。1年目は、できるだけ多く試合に出ることを考える。リベリ、ロッベンはすごい。でも最初から負けを認めたくはない」。

 賭けに近い移籍だ。G大阪の山本強化本部長はセリエAのアタランタ、ポルトガルのスポルティング・リスボンを含む3クラブからオファーがあったことを認めた。中堅クラブで経験を積み、数年後にビッグクラブへ移る道の方が堅実だっただろう。だが、欧州CLでも優勝を狙うBミュンヘンを選択。A代表や五輪代表でも定位置をつかんでいない宇佐美にとって、所属クラブで試合に出場できなければ成長が断たれる。

 「試合に出る確率の高いクラブに行くこともできた。でも世界のトップと練習することで学ぶことだってあると思う。想像もできないくらい成長したい」。

 7月13日神戸戦後にドイツに渡り、15日から練習に合流する。8月初旬の開幕まで時間はない。19歳は成長するため、あえて険しい航海に出る。【益子浩一】