<J2:水戸1-3札幌>◇第31節◇25日◇Ksスタ

 札幌が水戸を下し、今季初のアウェー逆転勝利を飾った。0-1でリードを許した後半24分にベテランMF河合竜二(35)が交代出場すると流れが一変。同31分にFW上原が同点弾、同40分にFWフェホがゴールを決め、一気に逆転した。これで6位京都に勝ち点差1に肉薄する7位に浮上。プレーオフ出場圏内が見えてきた。

 大事な試合を締めたのは河合だった。「相手が縦に速かったから、少し横に時間をつくろうと思った。いい感じでサイドにボールを供給することができたのが良かった」。0-1の後半24分に宮沢に代わり途中出場すると、4-3-1-2のアンカー役として巧みにゲームをコントロールした。すると劣勢だった攻撃陣にスイッチが入り、同31分の上原の同点弾からフェホ、内村と続き、敵地初の逆転勝ちを呼び込んだ。

 財前監督は当初、リードした段階で河合を“抑えの切り札”として投入する予定だった。それでも指揮官は「ここのところ後半からばたつく試合が多かったから、河合を入れて落ち着かせたかった」と急きょ変更。18日のG大阪戦まで2連敗していた敵地での悪い流れを変えるため、あえて負けている状況で守備の要を投入し、ズバリ的中した。

 “なだめ役”としても奮闘した。後半ロスタイム、FWフェホが相手選手にひじうちをして1発退場。号泣して審判に猛抗議したが「これ以上、やって出場停止が長引いたらかわいそうだから」と、197センチの巨漢を押し返してピッチ外まで連れ出した。最後に荒れかけた試合は、主将の冷静な判断で穏やかに鎮まった。

 左太もも裏肉離れで2カ月離脱も、じっくり対話を重ねてチームに戻ってきた。15日の練習試合で実戦復帰するとその日の夜には早速、副主将の内村、攻撃の軸の前田を集め、緊急会合を行った。チームの精神的もろさを痛感し、90分出られなくても声とタフな守備でチームを勇気づけるという役割に専念。精神的支柱として愛媛戦から2連勝に貢献し「チームが成長した。この一戦は自信につながる」と前を向いた。

 水戸に敵地で2点以上奪って勝った年は97、00、07、11年に続き5度目で、過去4年はすべて昇格している。「本当に大事なのは、この次勝つかどうか」。主将の闘魂注入で、1差に迫ったプレーオフ圏を、一気にたぐり寄せる。【永野高輔】