7大会連続7度目の出場となる日本(FIFAランキング24位)が、優勝4度の強豪ドイツ(同11位)に2-1と逆転勝ちし、初戦を大金星で飾った。

前半にPKで先制点を与えたが、後半30分にMF堂安律(フライブルク)が同点ゴール。続けてFW浅野拓磨(ボーフム)がドリブルで持ち込み逆転ゴールを奪った。途中出場の2選手が勝負を決めるなど、森保一監督のさい配が見事に的中した。前日にサウジアラビアがアルゼンチンを破ったことに続くジャイアントキリングとなった。

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1993年にW杯初出場を逃した「ドーハの悲劇」の舞台。当時のメンバーだった森保一監督が選んだ先発メンバーは、GK=権田修一(清水)DF=長友佑都(FC東京)吉田麻也(シャルケ)酒井宏樹(浦和)板倉滉(ボルシアMG)MF=遠藤航(シュツットガルト)伊東純也(スタッド・ランス)鎌田大地(Eフランクフルト)田中碧(デュッセルドルフ)久保建英(Rソシエダード)FW=前田大然(セルティック)。

一方、18大会連続20度目出場のドイツは、これがW杯史上最多の110試合目。バイエルン・ミュンヘン勢が5人など欧州ビッグクラブのトップ選手が顔を並べた。GK=ノイアー(Bミュンヘン)DF=ラウム(ライプチヒ)ズーレ、シュロッターベック(以上、ドルトムント)リュティガー(Rマドリード)MF=ギュンドアン(マンチェスターC)キミヒ、ムシアラ、ニャブリ、ミュラー(以上、Bミュンヘン)FW=ハーバーツ(チェルシー)。

序盤からドイツの攻勢を受けながらカウンターのチャンスをうかがった。前半8分、鎌田が自陣で相手ボールをカットし、右サイドの伊東へ展開。縦へ運び、ゴール前へ折り返したボールを前田が押し込んだが、オフサイド。絶好の先制機を逃した。

先に決定機をつくった日本だが、技術と組織力がミックスされたドイツの前に防戦一方。パスをつながれ自陣深くまで押し込まれる中、耐える時間が続いた。

そして前半31分、ゴール前右サイドでパスを受けたラウムに対し、GK権田が後方からチャージし倒してしまった。これで献上したPKをギュンドアンが冷静にゴール左へシュートを決められ、ドイツに先取点を奪われた。

その後もニャブリ、ムシアラら若きアタッカーの個人技に翻弄(ほんろう)された。前半ロスタイムに波状攻撃を受け、最後はニャブリのシュート気味のボールからハーバーツが押し込まれた。これはVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)判定でオフサイドとなった。

前半のシュート数は日本の2本に対し、ドイツは12本。ボール支配率もドイツが89%を記録。日本は守備で手いっぱいだった。ハーフタイムのインタビューに森保監督は「PKは痛かったが、我慢強く戦ってくれている。想定していた通りで、プラン通り進んでいる。相手の攻撃を止めながら、必ずチャンスは来るのでそこで決め切りたい」とコメントした。

日本は後半開始から、久保に替えて冨安健洋(アーセナル)をピッチに送った。久保は前半に足を痛めた様子だった。日本は守りを厚くするためセンター3枚の5バックに切り替えた。

前半よりも日本は攻撃に出る時間が増えた。後半12分、長友に代えて三笘薫(ブライトン)、前田に代えて浅野を投入。直後に伊東の縦へのドリブルからニアサイドへ浅野が飛び込み頭で合わせたが、ゴール枠を外れた。

逆に後半15分、ムシアラの中央突破からギュンドアンがフリーで右足シュートするもゴールポストをたたいた。対する日本もカウンターから三笘が運び、浅野へつなぐがゴールには至らない。

 その後もドイツの波状攻撃に再三見舞われたが、権田が好セーブを連発。追加点を与えずにチャンスを待った。

後半26分、田中に代わり堂安を投入。さらに攻撃を加速させる。同28分、日本は伊東が縦パスを胸トラップし、右足シュート。ノイアーにセーブされたが、そのこぼれ球を酒井が右足シュートするも、無情にもゴール上へと外れた。しかし、直後に歓喜の時間がやってきた。酒井に代わり、南野拓実(モナコ)を入れた直後の後半30分だった。三笘のドリブルから南野がシュート。ノイアーのはじいたボールを堂安が蹴り込み、同点とした。

さらに後半38分、板倉の縦パスを受けた浅野がドリブルで持ち込み、逆転ゴールを奪った。ジャガーポーズで喜びをあらわにした。

終盤はチーム全員で体を張った守り。アディショナルタイム7分もドイツの攻撃を封じ、大事な初戦で強豪国から勝ち点3を手にした。

日本は27日午後1時(日本時間27日午後7時)からコスタリカ、12月1日午後10時(同2日午前4時)からスペインと対戦する。

【得点】

▽ドイツ 前半33分・ギュンドアン(PK)

▽日本 後半30分・堂安

▽日本 後半38分・浅野