MF堂安律(24=フライブルク)が、MF本田圭佑(36)が持つ日本のW杯通算最多4得点の記録超えを誓った。

歴史的金星を飾ったドイツ戦でW杯第1号を決めた堂安は、27日のコスタリカとの第2戦も出場は確実。本田と同じG大阪で育ち、同じ左利きで、W杯優勝の目標を公言する強心臓も同じ。2戦連発で、まずは1次リーグ突破を目指す。

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令和のレフティーモンスターからは、ドイツ戦で歴史的金星を挙げた興奮は消えていた。自身のW杯初出場初得点が、日本の今大会第1号ゴール。得意の左足で、値千金の同点弾を挙げた堂安は「まだ歴史は変わっていない」と、24日の取材で言い切った。

一方で「まずはチームが勝つこと」が大前提ながら、この名前を聞くと、鋭く反応した。前回までW杯3大会連続代表で、通算10試合4得点。日本勢最多得点記録を誇る、本田について聞かれた時だった。

「あまり、人と比べて目標を立てるのは好きではないが、リスペクトしている方なので、取りたいなと思います」

堂安は19歳でG大阪から欧州へ旅立ち、同ジュニアユースまでの本田とは在籍年数こそ違うが、出身クラブ、関西出身、左利きまで同じ。23歳の本田が10年南アフリカ大会カメルーン戦で初出場初得点を決めたように、堂安も続いた。

W杯優勝を公言していた本田同様、堂安も今大会前は「ばかなことを言ってるなと思う人は多いとは思うが、優勝を目指していい」と発言。ビッグマウスではなく、自分を信じることで力を発揮するタイプだ。

頑張るのは、別の理由もある。今大会の代表26人から落選したMF原口元気(ウニオン・ベルリン)から背番号8を引き継いだからだ。同じドイツでプレーする先輩に連絡し、恩返しを約束したという。

「『律につけてほしい』と言われた。元気君に何も聞かず、つけることはできなかった。彼も前大会(ベルギー戦)で得点しているので縁起のいい番号。その運をオレに、ちょっと分けてよと話をしました」

自身のツイッターのアカウントは、ポルトガル代表FWロナウド「CR7」のように「RD8」。愛情を注ぐ、背番号8の効果がいきなり出た形だ。

勝てば1次リーグ突破が決まる可能性のあるコスタリカ戦には、引き続いて出場が濃厚。02年日韓大会のG大阪の先輩MF稲本潤一以来、2試合連続ゴールを狙う。この日の練習でも元気いっぱいだった。

「(得点者は)ずうずうしいメンタルの人が関西、G大阪に多いと思う(笑い)。それは大舞台で気負わずにプレーできる自分のよさ」。東京五輪も経験した、新たなスター“RD8”が誕生する。【横田和幸】

◆堂安律(どうあん・りつ)1998年(平10)6月16日、兵庫・尼崎市生まれ。G大阪下部組織で育ち、プロ2年目の17年7月にフローニンゲン移籍。PSV、ビーレフェルト、PSV、22年7月にフライブルク移籍。21年東京五輪は6試合1得点。国際Aマッチ通算30試合4得点。次のコスタリカ戦は18年9月に代表デビューを飾った同じ相手に。172センチ、70キロ。

<堂安の強気コメント>

◆「逆境大好き人間頑張りまーす。あ、けがしてません」(22年3月、W杯アジア最終予選メンバーから落選し)

◆「すごい、ありがたくて。自分の性格をみんな知ってくれていると思うが、そういう状況に陥れば、陥るほど燃えるタイプ」(同年5月、代表落選時の心境を聞かれ)

◆「生意気な子がやっぱ僕の経験上、上にきている」(同年5月、自身が経営するサッカースクールでの育成方針を聞かれ)

◆「自信がなければ、この時点で断っていた方がいい。自信しかない」(同年11月、初のW杯代表に選出され)

◆「欧州がアジアをなめているところがあるので、ふざけるなよって。見返してやろうって」(23日のドイツ戦で逆転勝ちし)