東欧の名将が日本をほめ殺しにした。クロアチア代表のズラトコ・ダリッチ監督(56)が市内のトレーニング場で行われた記者会見に出席し、決勝トーナメント初戦で対戦する日本の戦いぶりを称賛した。

ダリッチ監督は前回18年W杯ロシア大会でクロアチアを準優勝に導いた指揮官。強豪を破り、勢いに乗る日本と真正面から戦うつもりだ。

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“サービストーク”なのか。ダリッチ監督は柔和な表情のまま語った。

「日本と対戦できてうれしいですが、スペインと戦うほうが簡単だったかもしれません」。

優しいまなざしが印象的な指揮官は、18年ロシア大会でクロアチアを準優勝に導いた。「日本がベスト16に残っていることには驚きません。彼らのゲームと質はそれに値するものであり、私は祝福します」。称賛の言葉を並べる穏やかな物腰に、知性と人柄がにじんだ。

16年にはUAEのアル・アインを率い、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で準優勝。17年にクロアチア代表監督に就任するまでは8年間、中東を渡り歩いた。だから、アジアのことをよく知っている。「日本は謙虚さと誠実さの縮図です。彼らは傲慢(ごうまん)ではなく、監督は冷静に試合の流れを追っている」と森保監督の印象も語った。

過去には、フランスで日本の試合を見たことがあるという。「スタンドを掃除している(サポーターの)様子に驚きました」。今大会でも話題になっている日本人がごみ拾いする姿は、名将の心にも深い印象を残したようだ。

「日本は諦めない、負けてから立ち直った、それが素晴らしいところ。8人がドイツ1部リーグでプレーし、セルティック(スコットランド)のFWがいるのも知っている。手ごわい相手になる」。試合の鍵に挙げたのは「規律と我慢強さ」。日本のメンタリティーにも通じる指揮官はどんな采配を見せるのか。(ドーハ=磯綾乃)

◆日本のクロアチア戦 国際Aマッチ通算1勝1分け1敗。W杯では過去に2度対戦して1分け1敗と勝利がない。どちらも1次リーグ第2戦だった。98年フランス大会でFWスーケルに得点を許して0-1で敗戦。この大会でクロアチアは3位と躍進した。06年ドイツ大会では0-0で引き分け、ともに決勝トーナメントへ進めなかった。