決勝トーナメント初戦で日本代表が対戦するクロアチア代表とは? FIFAランキング12位、前回ロシア大会で準優勝と実績に大きな差はあるが、実は共通点が多いという。

昨夏の東京五輪も取材した現地メディア「クロアチア通信社」のデニス・ルガリッチ記者にライバルについて聞いた。

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国旗の市松模様をモチーフにした白と赤のユニホームは、1度見れば忘れられない。クロアチアはバルカン半島に位置する小さな国。2日の会見でダリッチ監督が「規律と我慢強さ」を試合の鍵にしたように、日本と似たところも多い。

4-3-3のシステムの中心にいるのは、37歳の主将MFモドリッチ。同国史上初の準優勝を果たした前回ロシア大会では、最優秀選手にも輝いた。172センチの小柄な体でゲームを支配するピッチ上の“監督”だ。

「すごく経験豊富なチーム」と太鼓判を押すのは「クロアチア通信社」のルガリッチ記者。「モドリッチ、ブロゾビッチ、コバチッチはおそらく最高のMF。プレーの質がとても高い3人の中盤選手が強みなんだ」。今大会はその経験値に、若い選手の勢いがかみ合った。「ベテランと(24歳の)ソサのようなヤングプレーヤーがとてもいい関係を築けている。友達のようで、家族のようなチームだよ」とうなずく。

団結力あるチームを作ったのは、前回大会から指揮を執るダリッチ監督だ。性格は「聡明(そうめい)で信念があるけど、とても穏やかで落ち着いている。あとは、家族をとても大事にしているよ」。確かに会見場のボードには、クロアチア語と英語で「家族」と書かれていた。ここにも、温かい雰囲気がうかがえる。

ベテランと若手の融合、温厚で頭の切れる指揮官。今の日本のチームと共通する。20歳の屈強なDFグバルディオルは黒いフェースガードを着用し、宮本恒靖の「バットマン」姿をほうふつとさせる。「日本人選手も知っているよ。カマダはヤキッチと、マエダはユラノビッチとプレーしている。イトウもエンドウも…」と話すルガリッチ記者。実績は違えど、互いによく似て、よく知っている?

日本とは過去のW杯で1勝1分け。ドイツやスペインら列強ほどの華々しさはないが、実力は折り紙付き。総じて大柄で「東欧のブラジル」と呼ばれた旧ユーゴスラビアの中でも個人技の高い選手が多い。東欧の強敵とアジアの挑戦者の対戦に注目だ。【磯綾乃】

◆18年W杯ロシア大会のクロアチア代表 成績は準優勝。1次リーグを3戦全勝で突破。決勝トーナメントは1回戦のデンマーク、準々決勝でロシアをそれぞれPK戦で下し準決勝へ。決勝をかけたイングランド戦も延長戦の末に2-1で破り、決勝に進んだ。フランスに敗れて優勝を逃すも、過去最高成績を収めた。MFモドリッチをはじめ、国内の強豪ディナモ・ザグレブの下部組織出身者が23人のうち14人を占めた。