“ピッチ上の監督”ことクロアチア代表主将MFルカ・モドリッチ(37=レアル・マドリード)を止めないことには、日本の勝利はない。日本戦を2日後に控えた3日の会見で、DFヨシプ・ユラノビッチ(27)は言った。「ルカ(モドリッチ)が90分全力疾走しているのを見ると、若い選手は力とモチベーションが与えられる」。疲労困憊(こんぱい)の時のあと1歩を、レジェンドの存在が後押ししてくれる。

「ワールドクラスの選手が10年間、最高レベルでプレーすることは大きな助けになる。だから我々は、ピッチ上でどんな状況でも好転させることができると信じている」。ユラノビッチの言葉はチーム全員の思いだろう。

モドリッチは1次リーグ3試合で90分、86分、90分とほぼフル出場。レジェンドが走り続けるなら、止まるわけにはいかない。クロアチアの先発は、初戦モロッコ戦から2戦目カナダ戦にFW1人を変えただけで、ほぼ同じメンバー。蓄積した疲労が心配されるが、前回MVPの姿がピッチにある限り、心配はなさそうだ。

経験豊富なベテランに追随するのは、才能豊かな若手DFたち。黒いフェースガードの「バットマン」姿が目を引くのは、DFヨシュコ・グバルディオル(20=ライプチヒ)。チームを率いるズラトコ・ダリッチ監督(56)が「世界最高のDF」と絶賛する、185センチ、80キロの屈強なセンターバックだ。日本代表MF遠藤、DF伊藤と同僚のDFボルナ・ソサ(24=シュツットガルト)は、ドイツで才能が開花。今年9月にA代表デビューし、その勢いのままカタールにやってきた。

若手の勢いを生かす不動のキャプテンの存在感は大きい。ピッチを縦横無尽に走る“監督”を日本は止めることができるか。【磯綾乃】