準決勝で36年ぶり3度目の優勝を狙うアルゼンチンがクロアチアを3-0で下し、18日(同19日午前0時キックオフ)の決勝に進んだ。準優勝した2014年以来2大会ぶりの決勝進出。

エースのリオネル・メッシ(35=パリ・サンジェルマン)は栄光のキャリアにただ1つ足りないとされるW杯に文字通り、王手をかけた。前回準優勝のクロアチアは2大会連続の決勝進出はならず、17日(同18日午前0時キックオフ)の3位決定戦に臨む。

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37歳のクロアチアMFルカ・モドリッチ(37=レアル・マドリード)は後半36分で途中交代し、試合終了のホイッスルをベンチで聞いた。前回大会の準優勝は上回ることができなかった。

前半31分に自陣で相手を股抜きし、そこからドリブルで持ち上がって好機につなげた。だが最後はペリシッチのシュートがゴール上に外れ、直後に自らのパスカットが失敗したところからカウンターで自陣深くまで攻め込まれ、PKを献上した。モドリッチは「それまで危ない場面はなかったのに、あのPKで試合の流れが完全に変わった」と悔やんだ。

0-3の後半36分に交代すると会場から温かい拍手が送られた。試合後には潔く「メッシがこのW杯で優勝することを願っている。彼は史上最高の選手で、それに値する。毎試合、彼の質と素晴らしさを示している」と相手エースにエールを送った。

決勝戦が行われる18日はモドリッチにとって大きな意味のある日だった。名前が同じルカで、大好きだった祖父がユーゴスラビア紛争のさなかの1991年12月18日に死去した。祖父は一家が暮らしていた旧ユーゴ・ザダルでヤギの群れを牧草地まで連れて行こうとした際、セルビア系部隊に射殺されたのだ。当時モドリッチはまだ6歳だった。

18日には天国の祖父に決勝でプレーする姿を見せたかったが、かなわなかった。それでも「負けて大会を終えるのは良くない。3位決定戦は全力で勝ちにいく」と切り替えた。

モドリッチにとって、代表でのプレーが最後ではなくなる可能性も高まってきた。24年欧州選手権まで契約の残っているクロアチアのダリッチ監督が「我々は素晴らしいチームだし、この世代は24年欧州選手権で代表でのキャリアを終えるだろう」と今後の招集を示唆。少なくともあと2年はモドリッチの華麗なステップが見られそうだ。