MF大島僚太(25=川崎フロンターレ)が初のワールドカップへ大きく前進した。MF柴崎、井手口ら海外組を押しのけボランチの左で先発すると、序盤から積極的に味方からボールを引き出してチャンスを演出。前半27分には右ウイングバックの原口へ絶妙なスルーパスを通して大迫のヘディングシュートにつなげるなど、日本代表初のフル出場で存在感をみせた。

 後半37分に相手へプレスをかけた際、足を気にするそぶりがあったが、西野監督は「展開力とプレーメークで外せなかった。足がつっていたが、終盤の展開で欠かせなかった」。昨年12月の東アジアE-1選手権・韓国戦、今年3月の欧州遠征マリ戦と2戦連続で負傷交代していたが、この日は指揮官から絶大の信頼を得て90分完走。それでも大島は「90分出たけど、勝たないといけなかったし、まず追いつくことができなかったので。残念です」と悔しさを口にした。

 大きな体格の相手にも、技術でいなしてかわす技術は、静岡学園中・高校時代に「柔よく剛を制す」の精神で鍛えられた。ハリルホジッチ前監督からは「声を出さない」とコミュニケーション面の課題を挙げられたが、昨季から所属チームで試合中、最も声を張り上げ、声をからすまで味方を動かし続けてきた。今季、チームに復帰したFW大久保が「(大島)僚太が一番、声を出すようになった」と、その成長に驚いたほどだった。

 W杯への思いがより強くなったのは14年リオデジャネイロ五輪を経験してから。五輪に出場していない世界最高峰の選手と対戦したい思いが強くなったという。「自分がどれだけ通用するかとか、チームとして勝ちにいけるか、というのが楽しみな大会」。最終選考の発表はきょう31日。「選ばれたら準備したいという感じです」。そう淡々と話した。【岩田千代巳】