FWメッシ率いる優勝候補のアルゼンチンと、人口約33万人とW杯史上最小国の初出場アイスランドの一戦。前回大会は主将として4得点を挙げるも決勝でドイツに敗れて涙を流したメッシが、悲願のタイトルに挑む注目の戦いが始まった。それは大方の予想通り、アルゼンチンが圧倒的なポゼッション(ボール保持率)を誇りながら進んだ。

 最初にシュートを放ったのはアルゼンチンだった。前半8分に右サイドで得たFKをメッシが中央に送り、DFタリアフィコがバックヘッドで合わせる。これは惜しくもゴール左に外れた。

 ただ、敵がアクションを起こせば、すぐ反撃するのがバイキング魂なのか。アイスランドも1分後に、FWフィンボガソンがロングボールから抜け出して右足でシュート。これも左に外れたが、アイスランドのW杯初シュートになった。

 それでも徐々にアルゼンチンにギアが入り、前半17分にはメッシが左足の鋭い振りから強烈な初シュートを放つと、スコアが動いたのは、その2分後だった。DFロホの強烈なミドルシュートを、ペナルティーエリア内にいたFWアグエロが難なくトラップ。すかさず反転して左足を振り抜くと、強烈な弾道でゴール左上に突き刺さった。

 ただ、これで気落ちしなかったのがバイキング軍団だった。わずか4分後の前半23分、アイスランドもサイドからチャンスをつくり、MFのG・シグルドソンが低い右クロスを送る。アルゼンチンGKカバジェロが先に触るが、こぼれ球をFWフィンボガソンが押し込んで、1-1の同点に追いついた。アイスランドのW杯初ゴールが早くも生まれた。

 その後も、アルゼンチンは8割近いポゼッションを誇るも、アイスランドは鋭いカウンター攻撃を披露し、互角に渡り合う。前半42分にはアルゼンチンDFサルビオが右サイドをえぐって送ったクロスが、ペナルティーエリア内のDFの足を抜けて手に当たったが、故意ではないと判断されたか笛はならず、CKとなる一幕もあった。

 後半に入っても、構図は変わらない。11分にはメッシが3人に囲まれながらもドリブル突破。ただ、シュートはアイスランドの固いブロックに阻まれた。

 試合が動きかけたのは前半18分だった。負傷者が出て1人少ない中、アイスランドのDFマグヌソンが相手を倒してPKを与えてしまった。アルゼンチンのキッカーはメッシ。だが、今大会初得点となるはずだった左に蹴ったPKは、コースを読んだアイスランドGKハルドルソンの手にはじかれて、勝ち越すことはできなかった。

 アルゼンチンはさらに、後半32分には交代したばかりMFパボンがペナルティーエリア内で倒されたが、今度はPKの笛はなし。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)で確認するしぐさもなかった。

 何とかゴールをと、アルゼンチンはメッシに集める。後半36分にはメッシが中央で素早く反転し、左足で巻いて狙うも、惜しくも左に外れた。

 アイスランドの倍以上のシュートを放ちながら、アルゼンチンにはショックの残る引き分け。アイスランドにとっては大きな、同国初の勝ち点1を手にした。