W杯ロシア大会1次リーグH組の第2戦、日本-セネガルの公式会見が23日、会場のエカテリンブルク・アリーナで行われた。

 日本は西野朗監督(63)とDF吉田麻也(29=サウサンプトン)が出席。まず質問を受けた吉田の後、西野監督が対応。「セネガルの肉体面以外の強み」を問われると「日本から見たアフリカのイメージは、やはりフィジカル。まず警戒しなければ、対応しなければ、と考えています。でも今回のセネガルは肉体的な強さ、速さだけではない、選手が警戒しているところはオーガナイズされているチーム。個々を生かすための、攻撃権を得るための組織化された守備。そこにフォーカスを当てて見ています。非常にディシプリン(規律)があって警戒しています」と話した。

 日本が3月のベルギー遠征で対戦したマリ(1-1)との比較を求められると「ここに来る前に、日本でガーナとも壮行試合をしました。アフリカのチームとテストマッチした中で、地域によってタイプが違う。マリともガーナとも違うセネガルが、そこにはある。なかなか測れない強さ、速さの感覚はテストの中で体感できたところはある。でも、セネガルはチームとしても規律が整っている。そこはテストできていない。非常にこう、個の力を爆発的に出してくるためのチームディシプリンがある。明日、想像以上のものがあるのではと、選手たちも思っています」と明かした。

 どうやって崩しにかかるのか。弱みがあるのか。そう聞かれると「ここ数日、セネガルに対して(今大会の選手最軽量59キロの)乾と(168センチの)大島に5キロ増量、身長を5センチ伸ばせ、失敗し、そのまま戦うことを余儀なくされている」とジョークで返す余裕を見せた。続けて「ボールを使ってセネガルに対抗する(競技)。軽い体でも対抗できるし、肉体的なコンタクトが多いゲーム展開だと状況は不利ですが、変化をし、想定してないところのクイックネスを生かしたり、しっかりボールを動かして対応していく。あまり弱点が見当たらないので、肉体ではなく頭の方を整理して戦術を考えていかないといけない」と返した。

 警戒する選手については「マネもそう。個々のスピード。グループの守備を考えても、そこを打開してくる、破壊してくる力が個々に存在する。組織的に守ろうとしても個の力で粉砕される状況が考えられる」と最悪の状況を想定し「入れ違った瞬間、対応しなければいけないし、直線的なプレー、力が攻撃のベースにはあると思うので、しっかり遅らせる、止める、推進力を抑える対応をチームとして考えなければいけないなと思います」と話した。

 「奇跡でもなければコロンビアに勝てないと話していた。なぜ悲観的だったのか」との質問には「奇跡を起こせますか? と聞かれたので『わずかな奇跡ですよ』と答えただけ。自分には昔の話(アトランタ五輪でブラジルを破ったマイアミの奇跡)があるので、そう言われているけど、我々はそうとは思ってない。奇跡が1人歩きしているだけで『勝てれば小さな奇跡かもしれません』と言っただけ。悲観的ではなかった。勝つために準備してきましたし、実現できた。奇跡とも思わない」と力強く言い切った。

 ベースキャンプ地カザンでの練習後に「セネガル戦のベースはコロンビア戦と変えない」と話していたことについて再確認されると「あまり、お答えしたくない」と笑顔を見せながら「全員がピッチに立てる現実はある。コンディションが悪い選手はいない。選択肢はあります。ただ初戦、数的優位な状況ではありましたが、戦い切れた。基本的にはスタートメンバーはコロンビア戦(と同じ)と現時点では考えています」と“予告先発”した。

 セネガルのメディアからは「いい選手がいて、組織的なセネガルを恐れているようだ。何か選手を孤立させるプランがあるのか」。これには「恐れは全くない」と即答。「チーム力に自信は持って臨みたい。今までイメージしてきたアフリカのチームとは違う強さが今回のセネガルにはある。スーパースターへの対応を考えると難しさはあるが、選手とここ数日、どう対応していくか準備してきたので。恐れるというよりは楽しみに考えたい。どう攻略するか、明日、見せたいなと」と自信を見せた。

 マネとサウサンプトン時代に同僚だった吉田から何か特別なプランを聞いたか尋ねられると「(会見に)吉田がいる時に聞いてほしかった」と苦笑い。「吉田と同サイド(日本の右サイド)にいる可能性が高いと思っていますし、吉田が、彼だけでないけど、選手たちに対応の情報を与えていいるのは間違いない。彼も1対1の状況になる可能性が高い。ストロングポイントは、ほかのDF、中盤の選手たちにも情報を与えている」。その上でマネの影響力を最も警戒し「マネ1人の対応に関しては適応できる。ただ、彼によって周りの選手が動きだす。ボランチ、最終ラインの選手も連動してくる動きに、どう対応するか。苦慮するところ。彼自身を抑えることは可能かもしれません。影響力が、マネがもたらすものじゃないかなと」と別の視点を口にした。

 初戦を制したチーム同士の首位争い。選手からは「2試合で決勝トーナメント進出を決めたい」という声が多い。勝ち点4でも第3戦は有利になる。そこで考える基準については「コロンビア戦のハーフタイムに『引き分けでいい』と何人かから声が上がった。でも『ここは勝たなきゃ、勝てるゲームだ』と勝ちにいく戦術、戦略を与えて選手を送り出しました。今、首位です。3戦目まで持ち越した場合、それは敗者復活ゲームだと選手には伝えている。2戦目で決めなければいけない。そう思わなければいけない。2戦目に対する意識、最高のポイントをここで目指す。多少リスクがあっても、目指すのは今だ、と話している。勝負に懸ける2戦目でなければいけないと思います」と勝利への強い意欲を示して会見を締めくくった。