元日本代表監督で日刊スポーツW杯特別評論家の岡田武史氏(61)が、西野監督と日本代表チームに感謝した。FIFAランク3位のベルギー相手に互角に渡り合ったことを評価し、自身が16強に導いた10年南アフリカ大会からのレベルアップを喜んだ。1次リーグからの4試合で、日本サッカーの「形」が見えてきたとした。【取材・構成=荻島弘一】

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 代表監督の仕事は「レンガを積むようなもの」という。「同じベスト16で上には積めなかったかもしれないけれど、しっかり横に積めた。次に上に積む準備ができた」と話した。「もしズタズタになっていたら、積んだレンガを外さなければならなかった。サッカーの火を消さずに済んだ」。今回のチームは将来的にも大きな仕事をした。

 海外の評価も変わった。「スペインなんか、パスを回すだけで、勝つ気あんの? という感じだった。日本は違う。勝つために、しっかりしたサッカーをやった。代表がどう見られるかというのは重要。その意味でも、ベルギー戦は大きかった」。さらに良かったのは、日本サッカーが見えてきた点。「国のスタイルは、先に作るものではない。自然にできてくるもの。パスをつないで粘り強く戦う日本代表のイメージができた」と、試合内容も絶賛した。

 ベスト16の壁を突破するために「今のやり方は間違っていない」と言い切る。その上で「個の力を上げるため、海外でもまれることも大事になる」と、これまで以上に選手が欧州などに出ることを求めた。

 チームを率いて見事に戦った西野監督は、早大の先輩。「西野さんには、ありがとう、と言いたい。本当にすごいと思うよ」。そして、ともに日本代表監督経験者として「時間ができたら、酒でも飲んでグチを聞きたいね」と笑った。