イングランドとクロアチアの準決勝は11日(日本時間12日午前3時)に行われる。ワールドカップ(W杯)についての験担ぎがいろいろある中、66年大会以来の優勝を狙うイングランドは「グアルディオラの法則」が懸かっている。果たして結論は? なお決勝は15日(同16日午前0時)、3位決定戦は14日に行われる。

 世界最高の指揮官として知られるジョゼップ・グアルディオラ監督(47)は、バルセロナでの2度の欧州CL制覇をはじめ、数々のタイトルを獲得。バイエルン・ミュンヘン時代には国内リーグで3度、ドイツ杯で2度優勝し、昨季マンチェスター・シティーでプレミアリーグを制した。

 読者の方はもうお気づきかもしれないが、同監督が率いているチームのある国がW杯で優勝するというのが「グアルディオラの法則」だ。バルセロナを指揮していた当時の10年W杯南ア大会ではスペインが初優勝。同監督がBミュンヘンを率いていた14年のW杯ブラジル大会をドイツが制した。

 法則通りなら、グアルディオラ監督は現在マンチェスターCの指揮官であり、W杯はイングランドが優勝するはずだ。そしてこの法則はあながち「偶然」のひと言だけでは片付けられない。クラブを指揮していてもグアルディオラ監督がその国のサッカーに与える影響力は多大だからだ。10年スペイン代表はほぼバルセロナだし、14年ドイツ代表もBミュンヘンの選手が主力。同監督の戦術が代表チームの戦い方のベースにあった。

 それはイングランドについても同じ。英デーリー・スター電子版によると、マンチェスター・ユナイテッドやイングランド代表で活躍したポール・スコールズ氏も「グアルディオラがイングランドのサッカーに影響を与えているのは明らかだ。3バックを採用し、GKもパス回しに参加させる部分などは特にそう思う」と明言。同国代表サウスゲート監督が何度もグアルディオラ監督と会い、戦術について話し合ったことも示唆した。

 今大会のイングランド代表はセットプレーに強いという伝統的な部分を残しつつ、後方からの組み立ても重視。マンC所属のDFストーンズが前方へボールを持ち出すキープレーヤーになり、中盤の底でパスを散らすヘンダーソンや、テクニックのあるスターリング、アリらも新たな色を加えている。果たして法則は今大会でも発動するのか。まずは準決勝クロアチア-イングランド戦に注目だ。【千葉修宏】

 ◆ジョゼップ・グアルディオラ 1971年1月18日、スペイン・サントペドル生まれ。90年にバルセロナでプロデビューし、01年まで在籍。ボランチとして90-91年シーズンからリーグ4連覇に貢献。06年に現役引退。07年からバルセロナBで指導者となり、08~12年にバルセロナ、13~16年にBミュンヘンの監督を務めた。両チームでそれぞれリーグ優勝3回。16年からマンチェスターCの監督となり、昨季リーグ優勝。愛称ペップ。