レアル・マドリードが欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝でリバプールに勝利し、大会史上最多となる14回目の優勝及び今季3冠を成し遂げたことを最後に、スペイン1部リーグ全チームが2021-22シーズンを終了した。

7季ぶりに戻ってきたアンチェロッティ監督率いるチームはシーズンを通じて安定した戦いを続け、スペインリーグ史上4番目に速い残り4節で通算35回目の優勝を達成した。ライバルチームが次々とつまずいたためほとんど苦しむことなく、2位バルセロナに勝ち点13差をつける圧勝ぶりだった。

欧州CLでは決勝トーナメントでパリ・サンジェルマン、チェルシー、マンチェスター・シティーの大富豪チームとの連戦を余儀なくされたが、ホームスタジアムのサンティアゴ・ベルナベウで見せた度重なる逆転劇はまさに“魔法の夜”と呼ぶにふさわしいものであった。

欧州CL、スペインリーグ、スペイン・スーパーカップの3冠達成をけん引したのはエースのベンゼマ。公式戦46試合44得点10アシストというキャリアハイのパフォーマンスを発揮して欧州CLとスペインリーグで得点王に輝き、今季のバロンドール最有力候補と目されている。さらに得点面で劇的な進化を遂げたビニシウスや36歳にして今なお衰え知らずのモドリッチ、シーズンを通じてスーパーセーブを連発し、欧州CL決勝でMVPに輝いたクルトワなどの活躍も目立っていた。

Rマドリードのライバルに目を向けると、バルセロナはメッシが退団し、再び財政難に苦しむ厳しいシーズンとなった。序盤の成績不振によりクーマン監督が更迭され、シャビを新たに迎えたものの、けが人続出の影響もあり欧州CLで21季ぶりに1次リーグ敗退という憂き目に遭った。

スペイン代表にも招集されている17歳のガビの台頭が目立ち、冬にフェラン・トーレス、オーバメヤン、トラオレ、ダニエウ・アウベスが加わり立て直しに成功したかに見えたが、欧州リーグ準々決勝で長谷部誠と鎌田大地擁するアイントラハト・フランクフルトに敗北を喫した。最終的にリーグ戦を2位で終え面目を保ったが、最後まで波に乗り切れなかった。

昨季のリーグ王者Aマドリードは前線にルイス・スアレス、グリーズマン、ジョアン・フェリックス、コレア、クーニャという強力な攻撃陣を擁しながら、重要な試合での決定力不足が露呈して不安定な戦いが続きリーグ戦を3位で終えた。一方、欧州CLでは予想外に準々決勝まで進出し、優勝候補のマンチェスター・シティーを苦しめた。

セビリアは、今季サモラ賞(リーグ戦の最少失点率GK賞)を獲得したボノやクンデ、ジエゴ・カルロスを中心とした堅固な守備を武器に好スタートを切り、Rマドリードに肉薄するも、後半戦に入りアウェーでわずか1勝という勝負弱さを露呈し、徐々に順位を落として4位に終わることになった。また欧州CLはバルサ同様に1次リーグ敗退、さらに欧州リーグも決勝トーナメント1回戦でウェストハム相手に涙をのんだ。

その他、輝かしい活躍を見せたチームとして、ベティスとビリャレアルを挙げたい。フェキルやカナーレスなど個人技に優れた選手を擁すベティスは終盤まで欧州CL出場権獲得の可能性を残しつつリーグ戦を5位で終え、国王杯では2004-05シーズン以来、17季ぶり、通算3回目の優勝を達成した。

ビリャレアルは今季、欧州を席巻するチームとなった。昨季の欧州リーグを制したエメリ監督指揮の下、持ち前の組織力を武器に欧州CLで前評判の低さを覆し、1次リーグを2位通過すると、決勝トーナメントでユベントス、バイエルン・ミュンヘンを撃破した。準決勝でリバプール相手に力尽きたものの、その戦いぶりは高評価された。一方、リーグ戦は欧州CLに尽力したことにより取りこぼしが目立ち7位に終わっている。

久保建英がプレーしたマジョルカは幸先の良いスタートを切るも、徐々に勝利に苦しんでいく。そして3月に6連敗を喫して初の降格圏落ちしたことでルイス・ガルシア監督が更迭され、かつて日本代表でも指揮を執ったことのある経験豊富なアギーレが新たに就任。残り9節を守備的な5バックをベースに戦い、4勝1分け4敗という好成績を挙げて見事、残留を成し遂げた。

スペイン1部リーグ唯一の日本人選手となった久保は、序盤からレギュラーの座を確保していたが、昨年9月に負った全治2カ月の膝重傷によりキャリア初の苦しい時間を過ごした。復帰後、強豪Aマドリード相手に決勝点を決める大活躍を見せたが、チームの不調とともにパフォーマンスを落としていき、終盤はアギーレ監督の超守備的な戦術によりベンチスタートが続いた。スペイン3季目をリーグ戦28試合(先発17試合)、1得点0アシストという成績で終えており、現時点で来季の去就は不透明である。

今季の成績により、来季の欧州CLにはスペインからRマドリード、バルセロナ、アトレチコ・マドリード、セビリアの4チーム、欧州リーグにはベティスとレアル・ソシエダードの2チーム、欧州カンファレンスリーグにはビリャレアルがそれぞれ参加することとなる。

また、Rマドリードは8月にヘルシンキで開催される欧州スーパーカップで、欧州リーグ王者のアイントラハト・フランクフルトと対戦する。さらに来年1月にサウジアラビアで開催予定のスペイン・スーパーカップには、リーグ王者のRマドリードと2位バルセロナ、国王杯王者のベティスと準優勝のバレンシアの4チームが参加する。

2部降格チームがアラベス、レバンテ、カディスに決定した一方、2部優勝のアルメリアと2位バリャドリードが1部に戻ってくる。そしてこの後、エイバル、ラス・パルマス、テネリフェ、ジローナが1部昇格プレーオフを戦い、最後のひと枠を目指すことになる。

来季のスペインリーグの日程はまだ正式発表されていないが、8月12日に開幕し、来年6月4日に閉幕する予定である。またワールドカップカタール2022開催のため、開幕1週間前の11月14日よりリーグ戦が中断されることになる。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)

優勝して喜ぶレアルマドリードの選手たち(AP)
優勝して喜ぶレアルマドリードの選手たち(AP)