ワールドカップ(W杯)カタール大会以降、調子を落としていたレアル・マドリードが、残り3タイトル獲得に向けてコンディションを整えつつある。
チームはW杯以降からの2カ月間で公式戦17試合、実に3~5日ごとに1試合というペースでタイトな日程を消化してきた。その間、スペインリーグ、欧州チャンピオンズリーグ(イギリス・リバプール)、スペイン・スーパーカップ(サウジアラビア・リヤド)、クラブワールドカップ(モロッコ・ラバト)の4大会を戦い多くの移動を強いられた中、特に1月上旬からの1カ月間は調子を大きく崩していた。
1月7日のビリャレアル戦で今年最初の黒星をつけられてから、2月5日のマジョルカ戦で敗北を喫するまでの公式戦9試合の成績は5勝1分け3敗。シーズン開幕から公式戦9連勝、16戦連続無敗を達成していたことを考えると、その1カ月間で3敗というのはあまりにも多すぎるものだ。
アンチェロッティ監督が事前に懸念していた通り、その大きな理由はW杯にある。Rマドリードは同大会に12人を輩出し、その多くは消耗して戻ってきた。中でも37歳のモドリッチは疲労困憊(こんぱい)からコンディションを大きく崩し、バルベルデは以前のような高い決定力を失い、リュディガーは不調に陥っていた。
そこに追い討ちをかけるようにカルバハル、メンディ、アラバ、ミリトン、ルーカス・バスケス、チュアメニが続々と負傷離脱。ビニシウスに至っては、アウェーのスタジアムに行くたびに人種差別的な侮辱を受け、さらにドリブルを警戒され欧州5大リーグ(スペイン、イングランド、イタリア、フランス、ドイツ)で最も被ファウル数の多い選手となり、特に敵地で本領発揮できない状態が続いていた。
今季、クラブ史上初の6冠を目指していたRマドリードだったが、さまざまな負の要素が重なり、スペイン・スーパーカップ決勝でバルセロナに完敗したことでその夢がついえてしまう。さらにスペインリーグでも大きな勝ち点差をつけられるなど、W杯後の1カ月は散々な結果となった。
アンチェロッティ監督はこの悪い流れを変えるため、まず負傷者が多数いたDF陣の問題に着手。今季控えに甘んじていた守備のユーティリティープレーヤーであるナチョをさまざまなポジションで起用し、MFのカマビンガを左サイドバックや守備的MFに配置したことでうまく解決した。
さらにベンチ要員だったセバージョスやアセンシオが出場のチャンスを生かし、レギュラークラスの選手たちと遜色ないパフォーマンスを発揮したことが、チームに活力を与えるきっかけとなった。そこにモドリッチやバルベルデが調子を取り戻したこと、ビニシウスが重要な試合で再びゴールを決め出したことなどが重なり、Rマドリードは復調の波に乗り始め、クラブワールドカップを制覇し、欧州CL・決勝トーナメント1回戦第1戦でリバプールに圧勝するに至ったのである。
また、エースのベンゼマがW杯後、ベストコンディションを保てずに休みを挟みながら公式戦13試合に出場しているが、そのうち9試合で計12得点を記録し、1試合平均1得点に近いペースでゴールを量産していることは、チームが結果を出す上で不可欠な要素であることは間違いない。
さらにチームが調子を上げ始めた今、最も注目を集めているのは、18歳のU-20ウルグアイ代表FWアルバロ・ロドリゲスの存在だ。先日開催されたU-20南米選手権で7試合に出場し5得点を挙げてチームの準優勝に大きく貢献。この活躍ぶりが評価され、2月18日のオサスナ戦でスペインリーグデビューを果たすと同時にアシストを記録した。そして次節アトレチコ・マドリード戦では敗戦濃厚の中、終了間際に引き分けに持ち込むヘディングシュートを決めてチームに貴重な勝ち点1をもたらした。アンチェロッティ監督はすでに来季のトップチーム昇格を明言しており、ベンゼマの後釜として将来が大いに期待される逸材となっている。また今月下旬に日本、韓国と対戦するウルグアイ代表に初招集される可能性も出ている。
今季ここまで欧州スーパーカップとクラブワールドカップの2冠を達成しているRマドリードはこの後、シーズン終了までの約3カ月間で欧州CL、スペインリーグ、国王杯の3タイトル獲得を目指して戦い続ける。
そんな中、次なる試合は2日にホームで行われる国王杯準決勝第1戦バルセロナ戦。今季3回目のクラシコとなるが、今後の行方を占う上で非常に重要な一戦となるだろう。守備の主力であるアラバとメンディが負傷欠場する予定だが、バックアップメンバーがそろっているため、Rマドリードは良いコンディションで臨むことができそうだ。
【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)


