23-24年シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(欧州CL)1次リーグの全日程が13日に終了した。スペインからは4チームが決勝トーナメントに駒を進め、数年ぶりに強いスペインが戻ってきた。
スペイン勢は近年、コロナ禍の影響で多くのクラブが深刻な財政難に陥り、欧州CLにおける競争力の低下が囁(ささや)かれていた。特に昨季、1次リーグを突破したクラブは、厳しい状況下でも健全経営を維持し、同大会をここ10年で5回優勝しているレアル・マドリードのみ。バルセロナとセビリアは3位、アトレチコ・マドリードは最下位という散々な結果で大会を去っていた。
■16強の国別の内訳は断トツ
今季欧州CLに参戦しているのは、昨季のリーグ戦を4位以内で終え参加資格を得たバルセロナ、Rマドリード、Aマドリード、レアル・ソシエダードに加え、欧州リーグ優勝で出場権を獲得したセビリアの5チーム。
そのうちセビリア以外の4チームがグループリーグ首位通過という好成績で、決勝トーナメント1回戦に駒を進めている。スペイン勢の1次リーグ首位通過は過去、3チームが最多で通算8回あったが、4チームは初の快挙である。
決勝トーナメントに進出した16チームの国別の内訳は、スペインが最多の4チーム。続いて、ドイツ(1次リーグ首位通過:バイエルン・ミュンヘン、ドルトムント、2位通過:ライプチヒ)とイタリア(2位:ナポリ、インテル・ミラノ、ラツィオ)が3チーム、イングランド(首位:マンチェスター・シティー、アーセナル)が2チーム。そして、フランス(2位:パリ・サンジェルマン)、オランダ(2位:PSV)、ポルトガル(2位:ポルト)、デンマーク(2位:コペンハーゲン)がそれぞれ1チームとなっている。
■5大リーグにみた補強総額は?
各国リーグの競争力を測る指針の1つとなるのが、選手を獲得する際の投資額だ。お金が全てと一概には言えないが、補強に費やせる金額が大きければ大きいほど優れた選手が集まりやすく、必然的にリーグ全体のレベルが上がっていく。
今夏の移籍市場における欧州5大リーグ(スペイン、イングランド、イタリア、ドイツ、フランス)の補強総額を見てみると、プレミアリーグが27億3770万ユーロ(約4243億4350万円)で例年通りのトップであった。
続いてフランスリーグが8億8064万ユーロ(約1364億円9920万円)で2位、セリエAが8億4566万ユーロ(約1310億7730万円)で3位、ブンデスリーガが7億4702万ユーロ(約1157億8810万円)で4位。対してスペインリーグはわずか4億3280万ユーロ(約670億8400万円)で最下位となっている。
スペインリーグとプレミアリーグにおけるコロナ禍前の2019年夏の差は、2億5000万ユーロ(387億5000万円)程度だった。しかし今夏、その差が23億ユーロ(約3565億円)にまで開いていることを考慮すると、今季のスペイン勢の躍進は大いに評価できる。
■シャビ監督の手腕には疑問も
2季連続で1次リーグ敗退という憂き目に遭っていたバルセロナは、ポルト、シャフタル・ドネツク、アントワープと一緒になったH組を、4勝2敗という成績で終了した。
3季ぶりに決勝トーナメント進出を果たしたにもかかわらず、最終節でそれまで未勝利だったアントワープに敗れるなど、不安定な戦いぶりを露呈していることでシャビ監督の手腕に疑問を持たれている。9大会ぶり通算6回目の優勝を目指している。
■ベリンガムを大黒柱に6連勝
Rマドリードは今季開幕前から主力のけがが相次ぎ、最終節ではクルトワ、ミリトン、ビニシウス、カルバハル、カマビンガ、チュアメニといったレギュラー陣が負傷欠場を余儀なくされた。しかし、新加入のベリンガムが若干20歳にしてチームの大黒柱となり、調子を上げているロドリゴ、そして普段は出番の少ない選手たちが奮闘し、ナポリ、ブラガ、ウニオン・ベルリン相手にC組で6連勝を達成。2大会ぶり、前人未到の通算15回目の優勝に向けて前進している。
またRマドリードは、95-96年シーズンに欧州CLが現行のフォーマットになってから行われた32回(99-00年から02-03年シーズンに実施された2次リーグ含む)のグループリーグ全てを突破した唯一のチームとなっている。
■グリーズマンとモラタが5得点
昨季1次リーグを最下位で敗退したAマドリードは今回、対戦相手のチームに上田綺世(フェイエノールト)、前田大然、古橋亨梧、旗手怜央、岩田智輝、小林友希(セルティック)、鎌田大地(ラツォオ)が所属していることから、日本で注目された。
グリーズマンとモラタがハーランド(マンチェスター・シティー)、ホイルンド(マンチェスター・ユナイテッド)と並ぶ5ゴールを挙げ、今大会の得点ランキングトップに立つ活躍を披露し、マンチェスター・シティー(18得点)に次ぐ高い得点力(17得点)でE組を4勝2分けで終えた。
首位通過は16-17年シーズン以来、7季ぶり。最終節ではクラブタイ記録となる、ホームの公式戦20連勝を達成した。ここ10年で2回進出した決勝では、同じ街のライバルであるRマドリードにいずれも敗れる屈辱を味わっており、悲願の初優勝が目標となっている。
■久保は無得点も存在感を発揮
10季ぶり、通算5回目の参加となった久保建英所属のRソシエダードは、今大会で台風の目となる活躍を見せているチームだ。昨季のファイナリストのインテル・ミラノ、そしてベンフィカ、レッドブル・ザルツブルクと同居した1次リーグD組を、3勝3分けと無敗で切り抜けた。
得点は7と少なかったが、参加32チーム中最少のわずか2失点という堅固な守備を武器に、20年ぶりの決勝トーナメント進出を成し遂げた。この後、クラブ史上の最高記録「82-83年シーズンの準決勝」を上回る成績をチーム一丸となって目指す。
久保は全6試合に出場(先発5試合)。得点、アシストともになかったが、第2節レッドブル・ザルツブルク戦でブライス・メンデスが決めたチーム2点目の起点になるプレーなど、印象に残るプレーを度々見せていた。
■セビリア1勝もできず最下位
セビリアは国内リーグ同様のパフォーマンスで低迷したまま、今大会を去ることとなった。アーセナル、PSV、ランスと一緒になったB組で一勝も上げることができず、2分け4敗の最下位。これにより昨季の欧州リーグ王者は、その大会に参加する権利も逃すこととなった。
スペインの4チームはこの後、2位通過のPSV、ライプチヒ、コペンハーゲン、インテル・ミラノ、ナポリ、パリ・サンジェルマン、ラツィオ、ポルトのいずれかと対戦する(※1次リーグ同組のチームは除く)。そのライバルを知ることになる運命の決勝トーナメント1回戦の組み合わせ抽選会は、18日にニヨン(スイス)で開催される。
【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)




