スペイン1部エイバルMF乾貴士(28)が25日、フル出場して3-0と勝利したマラガ戦後のミックスゾーンで、日本メディアの海外組に対する批判記事について憤慨した。

 乾の言葉は次の通り。

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 最近、日本のメディアの記事を読んで気になったことがあって。“欧州に行けばいいってもんじゃない、欧州にこだわる必要がない”というもので、そこから岳(テネリフェ柴崎岳)の話も出て…。

 欧州にいっても試合に出ないと意味がないという言い方で、もちろんそれは当たり前のことなんですけど、そこで苦しんで頑張ることにも絶対に意味がある。それを言い訳ととらえるのかもしれないけど、選手が厳しい環境で頑張ることにも意味があるんです。海外に出て、違う環境で、言葉も通じない、監督の考え方も違う中でやるのは、日本サッカーのためでもあるし、選手自身のためでもあるというのは分かってもらいたい。

 それを批判しすぎだと思う。代表に呼んで、そういう(海外のクラブで出場機会が少ない)選手を出すかどうかは代表監督が決めること。海外組はそれに関して、「出てないけど出せ」なんて言ったことはないし、代表で試合に出られなくてもそこに関して文句を言う人はいない。それを言うなら海外組じゃなくハリルホジッチ監督に言えばいい。

 岳はまだ海外に来て1、2週間。ここから少しずつ頑張っていこうとしている選手を「欧州に行けばいいってもんじゃない、柴崎がいい例」というような、欧州にこだわる必要がないみたいに言うのは、まったくリスペクトがない。海外に行かないと分からないこともあるし、そこで培ったものは絶対プラスになると思う。

 俺は代表でもないし、言いたいことは言えるので、だから今回は言いたい。(批判するのが)仕事と言われたら終わりだけど、それだけで片付けられたら俺らからしたら嫌だし、どうしても腹が立ってしまうので。言う方も責任を持って言ってほしい。海外で頑張っている奴らはいっぱいいます。海外に日本人が誰も行かないとなったら、面白くないと思う。海外に行って、そこで頑張ることに意味があるので。いうことにはもうちょっと責任を持って言ってほしい。

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 エイバルで成功をつかんだと言われている乾だが、本人にそのおごりはまったくない。日々の練習、そして試合の中でしっかりと結果を出さないといけないという厳しい欧州サッカーの環境の中でもがいているからこそ、受け入れられない短絡的な批判があること、本当に知って欲しい自分たち海外組の真実について、言葉をつむぎだした。(山本孔一通信員)