J1ベガルタ仙台GKシュミット・ダニエル(27)が2日、仙台市内でベルギー1部シントトロイデンへの移籍会見を行った。憧れの舞台にようやくたどり着いて、「27で海外に行くのは遅い。20代前半が理想だった」としながらも、長年夢見た欧州の地で飛躍を誓った。

2歳から高校(宮城・東北学院)まで仙台で過ごし、ベガルタサポーターだった少年が日本の守護神にまで上り詰め、海外に旅立つ。「プロに入り、いつかは海外に行きたかった。年齢的にチャンスがないと思った」と移籍の経緯を説明。またオファーを受けたときにチームは下位に低迷しており、「副主将として離れたら無責任だが、自分のことを考えたら行きたい。でもチームを考えたら迷った」と苦渋の決断をした。

仙台加入後は、けがで苦しんだ。それでも石野GKコーチと猛特訓。197センチの体格を生かしたセービングと正確なフィード、足もとの技術を備えた万能型GKとして日本代表の常連になった。「(同コーチとの練習で)全部成長した。キャッチングの基礎が相当できなかったが、リハビリ期間が長かったので、細かく丁寧に教わった」と感謝する。渡辺監督は「レギュラーが抜けるのは痛いが、生え抜きが世界に羽ばたくのはクラブとして誇らしい」とたたえた。シュミットが仙台の選手として戦うのは13日のホーム鹿島戦が最後。全力プレーで勝ち点3をもたらし、チームへの置き土産にする。【山田愛斗】