欧州を中心とした世界のサッカー界が、ウクライナに対するロシアの軍事侵攻に「ノー」を突きつけた。元ウクライナ代表FWで同国の英雄と呼ばれるアンドリー・シェフチェンコ氏(45)がSNSで「戦争は必要ない」と声明を出したのを皮切りに、ロシア代表選手までもが侵攻に反対する意思を示した。欧州サッカー連盟(UEFA)は25日、5月28日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝の会場をロシアのサンクトペテルブルクからパリ郊外サンドニのフランス競技場に変更することを決めた。サッカー界は「戦争反対」で団結を強めている。

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サッカー界で「ロシア包囲網」ができつつある。シェフチェンコ氏の「国民と私の家族が攻撃にさらされている。ウクライナ国民は、平和と領土の保全を求めている。どうか私たちの国を支援し、ロシア政府に彼らの侵略と国際法違反を止めるよう呼びかけてください」という訴えに呼応するように、各地で“反戦”へ向けた行動が加速した。

バルセロナとナポリの選手たちは欧州リーグ(L)の試合前、ピッチに集合。「STOP WAR(戦争をやめて)」と書かれた横断幕を掲げ、ロシアを非難した。またアタランタのウクライナ代表MFマリノフスキーは欧州Lオリンピアコス戦での得点後「NO WAR IN UKRAINE(ウクライナに戦争はいらない)」と書かれたアンダーシャツを披露した。

日本代表DF板倉滉が所属するドイツ2部シャルケは天然ガスの生産・供給で世界最大の企業であるロシア「ガスプロム」社の名前をユニホームの胸から外す決断をした。

そして、ついにロシア国内からも同様の声が上がった。同国代表のエースでディナモ・モスクワに所属するFWスモロフが自身のインスタグラムに真っ黒な画像をアップ。ロシア語で「戦争はいらない」と記したのだ。

そんな状況の中、UEFAやFIFAはロシア国内での主要大会開催を見直す動きを見せている。英国ジョンソン首相は「主権国家を侵略するロシアでフットボールの大会を開催するなんてあり得ない」と発言。その言葉に後押しされるように25日、UEFAは今季欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝をサンクトペテルブルクからフランスのパリ郊外サンドニに変更することを決めた。FIFAもW杯予選のロシア国内での開催に慎重だ。

ロシアに対し、サッカー界は断固とした行動を示していく必要がある。