【バルセロナ=高橋智行通信員】日本代表MF久保建英(21)の所属するレアル・ソシエダードがカンプ・ノウの高い壁にまたしても阻まれた。バルセロナとの準々決勝に0-1で敗れ、敵地カンプ・ノウでの公式戦はここ31試合で1分け30敗。しかも27連敗という厳しい数字となった。最後にアウェーゲームでバルセロナに勝利したのは91-92年シーズンのリーグ戦で3-1だった。

Rソシエダードはミケル・メリーノ、シルバなどの主力含む7人が負傷欠場した一方、大腿(だいたい)四頭筋の違和感によりラヨ・バリェカノ戦で出番がなかった久保が公式戦3試合ぶりに先発復帰。少年時代に所属した古巣相手に中盤ダイヤモンド型の4-4-2のトップ下でプレーした。対するバルセロナは負傷者0人のベストメンバーで臨み、4-3-3で戦った。

劣勢で迎えた前半30分、マリンのパスを受けた久保がペナルティーエリア内左45度の位置から左足を振り抜くが、惜しくもクロスバーをたたいた。これが前半唯一のシュートだった。

そして前半40分、ブライス・メンデスがブスケツへの危険なタックルで一発退場となり、Rソシエダードは数的不利の非常に厳しい状況に陥った。

バルセロナ相手に1人少ない状況という中、後半7分にFWデンベレに先制点を奪われた。孤軍奮闘する久保は後半14分、左サイドからグラウンダーの正確なクロスを送るも、ゴール前で合わせたセルロートが大きく上に外し、得点できなかった。存在感を見せた久保だったが、後半33分でピッチを退いた。

終盤にビッグチャンスが訪れる。後半43分にテア・シュテーゲンのパスミスを奪い、ナバーロがシュートを打つがセーブされた。さらにロスタイム、オラサガスティが際どいコースを突くシュートを放つが、またもやテア・シュテーゲンに阻まれた。Rソシエダードは1人少ない状況下、堅い守備でバルセロナにあまりチャンスを作らせなかったが、最後までゴールが遠かった。

Rソシエダードのアルグアシル監督は試合直後の会見で「準決勝に進出するという目標を達成できなかったので、腹が立っているよ。このピッチであのような相手と11対11で対戦するのでさえ難しいのに、1人少なくなった状況を想像してほしい。さらに我々はチャンスがあったのに得点することができなかった」と悔しがった。

その上で前半40分の退場となったプレーについて「もし私がレフェリーでVARに呼ばれてあの映像を見たら、明らかなものだったので彼(ブライス・メンデス)を退場にしただろう。しかしVARが存在しない場合、特にバルサは近年よりも非常にアグレッシブにプレーしているので、シャビ(監督)も私もただのプレーだと見なしたと思う」と話し、退場とはならない”ただのプレー“と自らの見解を示した。