韓国(FIFAランキング23位)の64年ぶりアジア制覇の夢が、ついえた。ヨルダン(同87位)に敗れ、今大会も頂点に届かず4強で散った。同居した1次リーグE組を2位で通過した韓国と、決勝トーナメントに各組3位6チームの上位で生き残ったヨルダンの再戦。グループ第2戦では2-2の引き分けだった両者は、前半0-0とこの日も拮抗(きっこう)した試合を展開した。最後は初のベスト4で勢いに乗っていたヨルダンが後半に2点を奪い、初の決勝に駒を進めた。イレブンは国旗を背に、歓喜のウイニングランでたたえ合った。

韓国メディアによると、エースFW孫興民(ソン・フンミン=トットナム)は「本当に申し訳ありません」と涙をこらえながら語り、ドイツ出身のクリンスマン監督は「多くのドラマを作ってきたが、サウジアラビア、オーストラリア戦で(ともに120分間の)血なまぐさい試合をした後だ。今日は敗北を受け入れなければならない」と振り返り「2年後の北中米ワールドカップ(W杯)へ厳しい予選が待っている。今大会を分析して準備しなければならない」と辞任は否定した。

前半は、韓国のGK趙賢祐(チョ・ヒョヌ、32=蔚山現代)が神懸かっていた。4分のセーブを皮切りに18分のピンチも防ぐ。26分には横っ跳びセーブで救い、終盤の42分には至近距離からFWアルナイマトのシュートをはじき返した。

迎えた後半8分、その守護神でもノーチャンスのゴールでヨルダンが先制した。MFタマリが敵陣でボールをカットし、ペナルティーエリア手前でラストパス。抜け出したFWナイマトが、右足チップキックでネットを揺らした。

さらには21分、ヨルダンがリードを広げる。先制アシストしたばかりの背番号10タマリが今度は自ら得点した。フランス1部モンペリエでプレーする技巧派が中盤から持ち上がり、相手3人に囲まれながら左足シュート。GKチョ・ヒョヌが懸命に伸ばした右手の先を、射抜いた。地元中東の大応援を受けたヨルダンが、本戦出場はまだ5度目ながら初のファイナル。「新たな歴史」をさらに塗り替えた。

韓国は、自国開催だった1960年大会以来64年ぶり3度目の優勝を狙ったが、伏兵に阻まれた。まずは2大会ぶり7度目の決勝進出を目指し、クリンスマン監督はこの日も孫興民やMF李康仁(イ・ガンイン=パリ・サンジェルマン)FW黄喜燦(ファン・ヒチャン=ウルバーハンプトン)を先発起用した。2戦連続の延長戦となった2日(日本時間3日)のオーストラリア戦(2-1)から中3日。守備の要であるDFキム・ミンジェ(バイエルン・ミュンヘン)が出場停止だった以外は、不動のメンバーをそろえた。

勝ち上がりも驚異的だった。1-2から追いついたヨルダンとの1次リーグ第2戦から、突破順位が懸かった第3戦マレーシア戦、PK戦までもつれ込んだ決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア戦、そして前回19年UAE大会の決勝カードと同じオーストラリアとの準々決勝と、実に4試合連続の後半ロスタイム弾で準決勝へ到達していた。ゲルマン魂を注入された、諦めない「アジアの虎」が今大会、母国で「ゾンビチーム」と呼ばれるまでの粘りを見せていた。

しかし、結果は0-2の完敗だった。3日の準々決勝で日本がイランに敗退した後、東アジアで双璧をなす韓国も、この大会から去ることになった。準決勝のもう1試合はイラン―カタールの顔合わせ。10日(日本時間11日)の決勝は4大会ぶりの中東勢対決が確定した。

【アジア杯】決勝進出はどっちだ?ヨルダン-韓国 準決勝/ライブ速報中