国際サッカー連盟(FIFA)の子会社設立案は「ワールドカップ(W杯)は売り物ではない」などと猛烈な反発を受け、廃案に追い込まれた。非難を浴びたのは内容だけではない。加盟211協会に対し、巨額の配分金と引き換えに賛同を迫った独断専行のインファンティノ会長は側近までもが離反する事態に。再選確実とみられていた来年の会長選は、状況が一変した。

流れを決めたのは世界王者スペインなど強豪国を抱える欧州連盟(UEFA)だ。計画の公表から2日後にはFIFA主催大会からのボイコットを決定。欧州勢不在のW杯は、もはや大会の価値を失う。株式の2割を外部投資家に売却する計画は、事実上この時点で行き詰まった。

インファンティノ会長は2016年の就任から拡大路線を推し進め、潤沢な資金を加盟協会に配分する手法で盤石の支持を築いてきた。史上最多48チームで行われた先のW杯では150億ドル(約2兆3700億円)規模の過去最高収益を見込む。だが、今回の強引な一手で求心力は低下し、FIFA理事の田嶋幸三氏も拙速な進め方を批判し「反対」を表明した。

「FIFA平和賞」の授与など露骨に取り入ってきた米トランプ大統領との関係はW杯期間中から批判の対象となり、今回の計画でもトランプ氏の影がちらついた。四面楚歌の会長は辞任の可能性も取り沙汰され、AP通信などによると後任候補にはFIFA副会長のモンタリアニ氏(カナダ)らの名前が浮上している。(共同)