スピードスピード

白幡圭史
◆白幡圭史(しらはた・けいじ)1973年(昭和48年)10月8日、北海道釧路市生まれ。専大卒。五輪は92年、98年、02年の3大会に出場。08年から1年間、日本オリンピック委員会の海外研修生としてオランダに留学。現在は日本スケート連盟スピードスケート強化部委員。
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危機感共有し抜本的改革を

 抜本的改革しか道はなし-。スピードスケートの日本男子陣は、15日の1500メートルで出場の全種目を終えた。金メダルを期待された男子500メートルを含めてメダルはゼロ。惨敗した中長距離はもちろん、短距離も金メダル候補だった長島と加藤以外は有力選手が見当たらず若手も育っていない。本紙評論家で日本スケート連盟スピードスケート強化部委員の白幡圭史氏(40)は、強化体制のゼロベースからの見直しを緊急提案した。

 日本男子が出場した個人4種目で、オランダが12個中9個のメダルをさらいました。500、5000メートルでは表彰台独占。スケート王国の想像を超えた強さが際立ちましたが、今回の五輪を「オランダが強かった」では、終わらせてはいけない。惨敗を検証し、反省した上で、強化策を根底から見直す必要があります。

 <1>一貫指導 高校生までのジュニア、18歳以上23歳未満のネオシニア、23歳以上のシニアが一体となって、一貫指導を行う。底辺を支える小学生の指導者からシニアまで同じ理念を持って教えていけば、選手も迷いません。どの世代の指導者も、メダルという共通の目的に向け、ベクトルの方向を一緒にすれば、指導者が代わっても引き継ぎがしっかりとできます。

 <2>ナショナルチーム 今のシニアは企業、所属ごとで強化をしています。競争も大事ですが、世界と戦うためには、企業、大学など、各所属の連携は不可欠です。情報があふれる時代だからこそ、取捨選択して、方針を決め、共有していくことが大事です。ジュニア強化担当として、各高校の垣根を取り払うのに4、5年はかかった。真のナショナルチームの設立は簡単ではないでしょうが、これ以上、世界に差をつけられないためには、今こそ一致団結が必要です。

 <3>外国人指導者の招へい もう日本の技術が1番との考えは捨てなければなりません。今大会で旋風を起こしたオランダなどから指導者を呼び、選手はもちろん、日本の指導者もプライドを捨てて学ぶのです。外国人コーチなら、所属の色もないため、企業、大学との連携が進みやすいというメリットもあります。

 <4>長期計画の作成 4年、8年と先を見据えた計画が必要です。短距離も加藤、長島の下が育っておらず、すぐに世界では勝てないでしょう。それでも結果を焦らず地道に長期的な強化を進めるのです。

 日本に帰国した長島選手は「(オランダ勢に)追いつくには五輪3大会くらいかかると思う。今回はそれくらいの惨敗でした」と話したそうです。わたしも強化委員の一員。彼の言葉をみんなでかみしめ、危機意識を共有していく。冬の伝統競技としての過去の栄光は捨て、日本スケート界全体が結束して、一から出直さなければ、未来はありません。

(ソルトレークシティー五輪1万メートル4位、日本スケート連盟強化委員)




日本のメダル数

金メダル
1
銀メダル
4
銅メダル
3

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