[ 2014年2月9日7時22分 ]女子モーグル決勝を滑り終えた上村は涙を流す仕草を見せる(撮影・井上学)<ソチ五輪:フリースタイル>◇決勝3回目◇8日◇女子モーグル

 5大会連続出場となる上村愛子(34=北野建設)は20・66点で、悲願のメダルにあと1歩届かなかった。それでも、4位入賞に「こんなに何本も滑れる五輪は今回が初めて。とにかく全力で滑らないといけないと思っていて、全部終わったときには得点も見ずに泣いていました。メダルは取れなかったんですけど、でも、すごくすがすがしい気持ちです」と、笑顔をまじえながら振り返った。

 上位6人で争う最後の決勝3回目。第1エアのヘリコプター(横1回転)と第2エアのバックフリップ(後方宙返り)を確実に決めた。30秒46は6人の中で最速タイム。今大会4本目となる最後の滑りで、積極果敢に攻めた証しだった。「準備してきたことや、失敗なく攻めて滑りたいというのが(決勝の)3本全部かなった。自信を持ってスタートに立ち、最大の力を出して滑るというのが私の思っている理想。今日はたくさんそれができたので、すごくうれしいです」。

 初出場の98年長野大会から前回の10年バンクーバー大会まで、7、6、5、4位と順位を1つずつ上げてきた。ただ、メダルには近づくものの、わずかに及ばず「何でこんな、1段1段なんだろう」と、大会のたびに悔し涙も流れてきた。

 バンクーバー大会後は引退も考えて休養し、冷静に自分を見つめ直した中で、戻ってきた雪の上。またも最後の1段を上がることはできなかった。だが「ソチを目指すと思ったときに、また(メダルが)取れないとか取れるとか、そういう場所に戻ってこれるという自信が持てていなかった。最高の滑りをしたら取れるかも、というところまで来れたのが、すごくうれしい」と悔いはなかった。

 集大成と位置づけた今大会。「たぶん、今回が最後だなと思っている。自分としては五輪の思い出は、すごくいい思い出で終われるんじゃないかな。メダルはないんですけどね(笑い)。そこはもう、申し訳ないとしか言いようがないんですけど、頑張って良かったなと思っています」。最後まで戦い抜いたその姿は十分、誇れるものだった。このニュースの写真