陸上男子400メートルリレーで日本が五輪3大会連続メダル? 国際オリンピック委員会(IOC)が08年北京五輪のジャマイカの金メダルを剥奪すると発表したことについて、国際陸連は26日までに、第1走者だったネスタ・カーターの同五輪でのドーピング違反が確定した場合、「他の競技会で採取、保管してある検体も再検査する」との声明を出した。金メダルだったロンドン五輪も対象とみられ、4位日本が銅メダルに繰り上がる可能性も出てきた。

 男子400メートルリレーで北京五輪金メダルを獲得したジャマイカ代表の1走カーターによるドーピング違反、メダル剥奪問題は、さらに飛び火しそうだ。カーターはドーピング再検査で、興奮作用のある禁止薬物のメチルヘキサンアミンに陽性反応を示した。これを受けて、国際陸連はカーターの違反が確定すれば、出場停止などの処分を科す方針を示すとともに、他の大会での検体も再検査すると“予告”した。

 1走としてジャマイカの金メダルに貢献したロンドン五輪も対象とみられる。カーターはかねて、現地メディアなどからドーピング疑惑を持たれていた。今後の展開次第で、ジャマイカのリレーメンバーは2つ目の金剥奪もありそうだ。北京からリオデジャネイロまで五輪3大会連続で100メートル、200メートル、400メートルリレーの短距離3冠を達成したウサイン・ボルトは、カール・ルイス(米国)らと並び陸上では最多となる9個の金メダルだったが、その記録も失われる。

 ロンドン五輪で日本は4位。5着でフィニッシュしたが、2着だった米国が、メンバーだったタイソン・ゲイのドーピング違反で失格処分となり、15年になって4位に繰り上がっていた。再び繰り上がって銅メダルとなれば、北京から数えて3大会連続メダルとなる可能性がある。

 ロイター通信によると、カーターの弁護士は処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する意向を示している。ジャマイカも今後21日間で、不服の申し立ての権利がある。

<今後の動き>

 ジャマイカの金メダルが剥奪された場合、IOC→日本オリンピック委員会(JOC)→日本陸連の順で、銅から銀メダルへの繰り上げが報告される。メダルについて、日本陸連関係者は「現時点では新しい銀メダルが日本に届くのかどうかも含め分からない」。アテネ五輪で室伏が銀から金に繰り上がった際は、大会後、IOCからアテネ五輪組織委員会を通じ、JOCに国際宅配便で届けられた。当時の関係者によると、紙に包んだだけで箱はなく、アテネ五輪組織委員会からの添付文書もくしゃくしゃの状態だったが、予備のメダルに新たな刻印が施されていたという。今回は9年前で、予備メダルがあるのかなど詳細は不明。