女子選手にとっても、川内選手はいい手本になる。見習って欲しい。アフリカ勢は5000メートルや1万メートルのスピードが日本人より上。その部分で歯が立たないならば、同じことをするより、こつこつと長い距離を踏んで、スピードを養っていく方がいい。私も初めはトラックだったが、ハーフマラソンをやり、トラックの記録も伸びた。長い距離を踏むことで足もできる。メニューをどう立てるかにもよるが、足ができれば、スピードも出てくる。「誰にも負けない、世界一の練習をやってきた」という自信があれば、レースも楽しめる。また小さな大会でもいいから海外大会の数をこなすこともいい。

 夏と冬の調整の違いについては、どんな状況でも戦える選手でないと駄目。アテネは35度ぐらいの暑さだったが、細かく考えてはなかった。直前だけ比較的気候が近いドイツで調整したが、3カ月前からの合宿は、涼しいスイス。走り込みをして内臓疲労を起こしたら練習ができなくなるので避けた。地力を上げれば、夏も冬も走れる。

 今のマラソン選手は、私たちの頃に比べ、高校時代の記録もいいし、素質はある。だからこそ、この結果を繰り返してはいけない。今の長距離界、マラソン界は現状を考えて、自分に厳しく向き合っていくことが大切だ。(04年アテネ五輪金メダリスト)

 ◆女子マラソンVTR 重友は18キロ、安藤は20キロ付近で先頭集団から脱落。清田だけは35キロ過ぎまで、何度か遅れながらも食らい付く。しかしその後、アフリカ勢のスパートに対応できずに失速した。

 ◆清田のコメント 前半からいっぱいいっぱいだった。アフリカ勢のスパートに反応すら出来なかった。想定していたが私の力不足。

 ◆安藤のコメント ペースの揺さぶりにおじけづいてしまった。走力だけでなく、気持ちもレベルアップしないといけないと痛感。

 ◆重友のコメント 落ち着いては走れていたが、25キロを過ぎてきつくなった。道が狭く、接触も多くて、神経を使っている部分もあった。