男子50キロ競歩でリオ五輪銅メダルの荒井広宙(29=自衛隊)が3時間41分17秒で銀メダルを獲得した。競歩の日本勢では五輪と世界選手権を通じて、2位は過去最高位。2秒差の3位にも小林快(24=ビックカメラ)が入り、ダブル表彰台に輝いた。日本勢が同一種目で複数メダルを獲得するのは03年大会の女子マラソンで野口みずきが2位、千葉真子が3位に入って以来。日本勢の今大会の獲得メダルは3個となった。

 荒井はラスト300メートルで一気にスパートをかけて、36キロ付近から第2集団を抜け、2位を争っていた小林を突き放した。ゴール前は大きく両手を挙げてガッツポーズ。ゴール後は2秒差の銅メダルだった小林とハイタッチでダブル表彰台を喜んだ。リオ五輪の銅メダリストに続くメダルに「何年か前には考えられないことが普通にできるようになった。今の時代に競歩をやれて幸せ」と満面の笑みだった。

 それもそのはずだった。長野・中野実高の陸上部に入ったが、初日のウオームアップで吐いた。5000メートルの自己記録は18分台。長距離で芽が出ず、競歩に転向した。才能はなかった。ただコツコツと努力する力があった。高校時代の練習ノートには当日のメニューや反省が端から端まで記されている。その習慣は現在も欠かさない。「今は昔よりびっちりはできないですね」と苦笑いするが、地道な努力のたまものが今につながる。「陸上に取り組む姿勢は高校で学びましたね」と話す。