08年北京五輪陸上男子400メートルリレー銅メダリストで、昨年9月に現役を引退した高平慎士氏(33)が日本陸連の男子短距離のコーチに就任することが26日、分かった。今季から男子短距離の日本代表で現場トップの五輪強化コーチとなる土江寛裕氏(43)の下で、強化に携わっていく。土江氏がコーチだった北京五輪の男子400メートルリレーで、高平氏は第3走者として日本勢トラック種目80年ぶりとなるメダル獲得に貢献。男子短距離の日本代表にメダリストのコーチが加わる。

 日本人離れした大きなストライドが武器だった高平氏は、04年アテネ五輪から3大会連続で男子200メートルと男子400メートルリレーの代表となるなど短距離界を引っ張ってきた。現役最後のレースとなった全日本実業団対抗選手権で実施された引退セレモニー後は「選手にとっていい環境になるように組織を動かしていかないといけないとの思いが僕にはある」と話していた。12年ロンドン五輪には、現在も日本代表の飯塚翔太(26=ミズノ)や山県亮太(25=セイコーホールディングス)らと出場。兄貴分として現役選手からの人望も厚く、首脳陣との橋渡しの役割も期待される。

 ◆高平慎士(たかひら・しんじ)1984年(昭59)7月18日、北海道旭川市生まれ。日本選手権200メートルで5度優勝。男子400メートルリレーでは09年、11年アジア選手金メダル、04年アテネ五輪、12年ロンドン五輪はともに4位。自己記録は100メートル10秒20、200メートル20秒22(日本歴代6位)。