得意なはずのスタートで“こけた”。18日に開幕するジャカルタ・アジア大会の日本選手団の結団式が13日、都内で行われた。日本選手団の主将を務める陸上男子100メートル代表の山県亮太(26=セイコー)が壇上で決意表明を述べるも、開始4秒でかんでしまった。「アジア競技大会」と話すはずが「アジア大会」と言いそうになったという。だが、金メダルを目指す本番を前に厄落としなった?

 緊張した面持ちで山県は壇上に立った。選手、スタッフ、関係者ら約2000人の視線を一身に浴び、沈黙の中で口を開いた。「私たちは第18回アジア」と話し、言葉につまった。誠実な人柄だけに、すかさず「すみません」と一言。それから「第18回アジア競技大会の」と言い直した。競技ではスタートダッシュで相手を引き離すが、決意表明では、いきなりかんでしまった。

 その後は堂々と言葉を連ねた。「2年後には東京オリンピック・パラリンピックが控えています。世界から注目を集める一大イベントを前にアジア大会は未来につながるバトンを東京に届けられるよう、1人1人が全力で戦い抜くことを誓います」などと語った。何事にも真面目に取り組む性格。この場に向けて、友人10人以上にテレビ電話をかけるなど、練習を重ねて準備を続けていた。「本番は40点。リハーサルは100点だったのですけど…」と苦笑いだった。

 大一番を前に極度の緊張を経験した。式終了後は「一番のヤマ場を乗り切りました」と安堵(あんど)した様子。大役を終え、これで本番は肩の力が抜け、ノビノビと走れそうだ。西日本豪雨で被害を受けた広島市出身で、実家は被害こそ免れたが、心を痛める。スポーツの力で被災地を勇気づけたいとの思いもある。目指す男子100メートルと400メートルリレーの金メダルへ突き進む。【上田悠太】